ISBN:430901738X 単行本 三並 夏 河出書房新社 2005/11/25 ¥1,050

あたしの夢には死神が降臨するボロのジーンズに出刃包丁をもって夢に現れる男。あたしはそいつが差し出すマシンガンを撃っては、頭を撫でられていた。言葉という武器で世界と対峙する史上最年少15歳による第42回文藝賞受賞作。


作家の低年齢化が進んできているが、とうとう15歳だよ。平成生まれ?中学生?ひゃー。
文章は中学生ということを感じさせないリズムと勢いのある文章。
しかし内容はすごく中学生らしいなぁ。
まだこれ一冊しか書いていないので判らないけれど、私小説に近くて彼女は小説の中に自分の中の黒々としたものの答えや吐き場所を探しているように見える。小説を書くことによって癒しを得てるのかなぁと。滝本さんの本を読んだときと同じ印象を受けた。
子供のころ、両親が嫌で、学校が嫌で、友達が嫌で、勉強が嫌で、大人が嫌で、全ての世界が嫌。
だけど両親は実の両親で、学校でも別に取り立てて問題もなく、友達とも平凡に仲良くしてる。
じゃぁ、この心の中の黒々したものはなによ?と考えたときに「あぁ・・・もし私が拾われた子で継母ならば・・・」とか自分が考えうる限りの最悪の状況に自分を置いて、夢見るヒロインになってガス抜きをする。その部分にすごく近いなと思った。

「15歳だからかけた。」
書評で聞いたとおりの意見。次回作どう化けるかで彼女の真価が問われると思う。

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