クラッシュ
*)えーと、ソイルでも、ロンドンコーリングでも、クローネンバーグでもありません。念のため。


前日、酷く早い時間から眠くてたまらないなと思っていたら、熱があった。
あーそういえば今日喉が痛かったんだよなぁと思って就寝したものの、翌日も下がらずにだるくて起き上がれない。
どうしても休めないので午後から這うようにして会社に行きポーっとしたまま仕事をしたが、あまりにも具合が悪そうだったのか、早々に帰宅命令が出たので嬉々として日比谷シャンテへ。すみません。>同僚

ある日、街道脇で一人の黒人の若者の死体が発見される。
話は戻って、その24時間前、ある白人夫婦は黒人ギャングにより車を奪われてしまう。
そんなひとつの事件から始まり、色々な人間がひとつのキーワード「人種差別」を絡め複雑に絡み合っていき再びオープニングへ集結していくストーリー。白人は有色人種を嫌い、有色人種はその自らの不遇さを白人にぶつける。

自分が知らない社会への入り口を広げてくれる映画だなぁ、これは。
人種差別の問題は語彙も知識もないですが、ただアメリカでの人種差別が、この映画くらいの、あざとさで残っているのかどうかは調べてみたくなりました。

ノミニーのマット・ディロンより、ドン・チードルが素晴らしい!彼の感情を抑えた演技がすごくいい。
この映画は細かい糸が緻密に絡み合ったストーリーなのでひとつ話すと全部漏れてしまう気がする。

でもこれ単純にハッピーエンドで心が温まるとか、感動して心が揺さぶられるっていう分かりやすい映画の類じゃない。
こうね、上手に説明できないけど・・・人種差別云々って単一民族の日本人はピンとこないから、白人による有色人種への人種差別は単純に「悪いことである」と思ってしまっている。勿論それはそうであるけれど、人間はある側面だけの感情で生きているわけではない。そういう「人種差別をする人間」を悪人と決め付けることによって第三者である者たちは、今まで心をすっきりさせてしまってなかっただろうか?
犯罪でもそうだ。残酷な犯罪や意味不明な犯罪がおきたりすると、すぐさま性癖やネット、ゲームをマスコミが祭りあげることによって犯罪の要因を何かに押し付けて、世間は安心してしまっていないだろうか?

しかしこの映画は違う。酷い人種差別をする人間が誰よりも親子愛に富んでいる人物であったりするところが、見ている私たちをモヤモヤとさせる。今まで根っからの悪人を映像で提供されることに慣れているから違和感ばかりが生じるのだ。
でもこれが人間の真実なのだよね。

消化するには一度じゃ足りないな。もう一回みたい映画。
気になる人は絶対に見たほうがいいです。これ。
動員数少なくて平日だと4,5人くらいしか入ってないようで、もったいないかぎり。
手を叩いて楽しめる群像劇が見たいならば有頂天ホテルへ。ひとつ何かを考えたいのならクラッシュへ。

コメント

秋林 瑞佳
秋林 瑞佳
2006年3月5日17:13

私も日比谷シャンテシネで観ました!<「クラッシュ」

金曜日の夕方に観に行ったんですけど、観客は20人くらいかな?(週末&オスカー前なのでいつもより多かったのかも)…でも都会の映画館って、トレイラーの前にいろんなコマーシャルフィルムや、「ぜひ劇場で***をお買い求め下さい」だのと、映画の本編観るまでが…な・が・い〜〜…。

個人的には…ちょっとあざとい感はぬぐえないけど、ここ数年の群像劇としては、指折りな出来の作品じゃないでしょうか。とにかく緻密だなあ、と。マット・ディロンがノミネートされているけど、出演者の全員が選ばれていいと思います(…って、マットは近年ではこの「クラッシュ」がピカイチなんですけど)。私の好みで云うならテレンス・ハワードかな。

(以下、多少のネタバレ)
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比べるわけではナイけれど、ポール・トーマス・アンダーソンの「マグノリア」を思い出しちゃいました。米国人なら「こんな人、いるいる」「これは私そのもの」「こんなシチュエーション、経験したよ」と云いそうな内容なのに、象徴するものがどこか異常だという点――カエルが降ってくる「マグノリア」、西海岸のLAなのに雪が降ってくる「クラッシュ」――なところが。

キリカ
キリカ
2006年3月5日23:30

秋林さんも日比谷ですかっ!?(笑)

確かに私もこれでもかこれでもかと押し寄せるテーマに少し食傷気味になったふしがあります。人種差別についてアメリカの現状が無知なので、こんなもんなのかしら?と首をかしげて帰ってきましたが・・・。
元マットファンとしてはノミニーは嬉しいのですが立派なエロ親父になりましたね・・・(涙

マグノリアのこと私も思い出しました。
あの結末はこりゃー禁じ手だろう?これで物語を集結させたとはいわせないわよー!!と憤慨した記憶がありますが・・・(あとトムトム詰め物疑惑とか、下らないことはよーく覚えてる私です。)

見終わったあとに、他の方のレビューつっこみみて、LAだってこと気付きましたよ(笑)

てる
てる
2006年3月6日2:30

くーーー、「酒ラボ」と合わせて気になる本だ。

私の好きな星新一は東大の醸造を出ていて、戦時中も酒には困らなかったとか、刑事コロンボで学生の密造酒が原因で犯人が分かったとかが好きなので酒造ネタりには興味あります。

そうそう、刑務所での密造酒とかも好き。(「24人のビリーミリガン」より)

「もやしもん」は私が大学のときに菌の研究をしていた頃を思い出します。菌は結構肉眼で見えるよ(笑
 
顕微鏡で見ていると、ニョキニョキ伸びる菌もあります。

シャーレ片手にカビハンターをしていました。「毛カビ」「クモノスカビ」「ビロードカビ」・・・無意味に集めたね(死
 

キリカ
キリカ
2006年3月6日21:50

あ、そんなに菌マニアならば絶対に気に入ると思います!
是非是非読んでレビューして!(笑)

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