東京物語

2005年6月7日 読書
ISBN:408747738X 文庫 奥田 英朗 集英社 2004/09 ¥650

1978年4月、親の反対を押し切って上京した久雄は、バブル期を迎えた80年代の東京で、戸惑いながらも少しずつ大人になっていく。眩しくて懐かしい、青春グラフィティ。


空中ブランコやインザプールはエンタテイメントな小説だった。
この小説は1978〜1989年までの時代の流れの中で主人公の彼がたんたんと、どこにでもあるような、でも自分にとってはとってもドラマな毎日を過ごした「文学小説」である。

この小説の時代、自分自身まだ子供で、時代の流れが見えていなかった。
知識としてキャンディーズの解散やジョン・レノンの死を知っているけれど、例えばそれがどれだけ日本に影響を及ぼしたかなんてわかりっこない。その頃大人が何を感じて、何を暮らしていたかはもっと判らない。
同じ時代を過ごして、同じ空気を味わった人のみの得られる甘美な話って気もする。

例えばあと何十年後か、オウム事件や9.11事件などの話を絡めたOLの日常の話が出たならばきっと私はむさぼるように読んでしまうんだろうなぁと思う。

世相と自分の感情って結構直結なのは私だけかな?
テレビなどで昔の事件などの映像をみると、そのニュースを誰と一緒にどんな会話をしていたか思い出す。
実際「自分が誰かと話したこと」と「事件がおきたこと」は同じ時系列なのだけど、どこか自分の思い出のほうが最近に感じたり、または遠くに思ったり。
そんな自分の歴史のズレをも楽しめる本なのかもしれない。

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