リアル鬼ごっこ

2004年6月15日 読書
時は30世紀。ある王国で、王様が前代未聞の通達を発した。「自分以外の者が<佐藤>を名乗ることを許さない。王国にいる500万人の<佐藤>姓の人々を、“鬼ごっこ方式”で抹殺する」と……。かくして死のゲームの準備が整えられ、狂気に満ちた日々が始まった! 期間は7日間、夜11時から12時までの1時間を、主人公・佐藤翼は無事に逃げ切れるのか? そして、“死の鬼ごっこ”の途中で生き別れた妹を救うことはできるのか? 


映画だと血が出ただけで大騒ぎして、見られないくせに。本だと割りとぐちゃぐちゃのドロドロでも平気らしい。むしろ好んで読んだりします。(挿絵やノンドキュメンタリーで写真が載ってるとアウトですが)

奇抜だよね。ストーリーが。
全国の佐藤さん皆殺し鬼ごっこだなんで誰が考えるんだ!?
多分誰もがこの本をバトルロワイヤルと比較してしまうと思うんだけど、バトルロワイヤルはすごく肉付けがしっかりしていた。
「殺し合い」に至る経緯が人によるが、少なくとも私には「ああ、こんな状態ありかねない」と感じたのだけれど、「りある鬼ごっこ」の佐藤虐殺計画に関しては王の「俺と同じ苗字が気に入らない・・・」それだけ。

それ以上の説明もそれ以下の説明もない。
それをスルーして考えたとしても、残虐な光景が広がってるであろう、国の様子が全然見えてこない。説明は勿論あるのだが「荒れてしまった」だとか「惨憺たるものだ」とか大きなくくりのニュアンスでかかれているので今ひとつ惨状がビジュアルで頭に浮かばない。

佐藤姓はどんどん殺されていく。
この時代の人間は体にチップを埋め込まれていて、それで佐藤を鬼が探しあてるのだ。

ええ?チップとっちゃえばいいじゃんか!
自分でナイフででもえぐりだして、体の深部なら闇医者かなんかに手術してもらうとか。チップを取ろうとする人間誰もいないよ・・・

次々と捕まる人々の描写も「捕まってしまった」というだけで、なんだか捕まってどれだけ酷い目にあったのか?どんなに目を覆う光景なのかさっぱりわからない。

こういう残虐なストーリーを書くには残虐なシーンを読者にイメージさせてこそ魅力だと思うんですよ。
なんだかね本一冊読んだのに星新一のショートを一本読んだのと同じくらいのイメージしか沸かない。

ただ発想はすごい。
何年か後に塚本高史と上戸彩あたりで映画化とかしちゃいそうな感じ。

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