DVD 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2005/06/24 ¥995

舞台はアイルランドのダブリンで、ソウル・バンドを作りたいと夢見るジミー(ロバート・アーキンス)は、新聞広告で仲間を募集し「ザ・コミットメンツ」を結成、徐々に人気は高まっていくが、同時に内輪もめも多くなっていき…。


日曜の夜には必ずネイルを塗りなおしていた。
でも今回は少し違う。
何年もヤスリで丹念に整えていたスクエアオフのネイルを爪きりでプチプチと短く切り落とす。
久しぶりに見る私の手。
あぁ。そうだった。私はこんな無骨な手だった。

それというのも、先月同窓会で卒業以来のクラスメイトに言われた。

「まだギター弾いてるの?」
「残念ながら今はもう全然なの。ほらこんなネイルだし。」

去年も同じようにメールが来たっけなぁ・・・当の本人は自分が音楽やっていたことさえ忘れかけてるのに彼等の記憶の中の私はいつまでもギタリストなんだ。

懐古主義は私に似合わない。昔を懐かしんでばかりじゃ前に進めないし。
なのに音楽映画ばかりをわざわざ選んでみているのは何故?

最近だとケビン・スペイシーの「ライフ イズ デビッドゲイル」で知られているアラン・パーカーの他の映画を実は私はそれほど好きじゃない。
だけれど、この映画にかける想いったら群を抜いている。
多分これは自分と重ねあわせているんだよな。
音楽が好きというだけではやっていけない。
傍からみると本当にちっぽけで下らない人間関係のもつれを痛いほど感じたから。
だからこそ花火のように一瞬だけ打ちあがったコミットメンツのステージラストの曲「トライ・ア・テンダネス」がすごくいい。

映画をみた私は心のどっかが少し決壊してしまったのかも。
ネイルをばっさり切り落とし、久しぶりに埃を被った私のかつて愛した相棒・・・
ユニオンジャックの大きなステッカーを貼った黒いギターを引っ張り出す。
錆びた弦に指が思い通りに動かなくて地団太を踏む。
ピックなんかもうないから10円玉で弾く。

ギターを抱くように朝まで寝て、翌朝会社に行くまでまた弾いた。
指が腫れあがってもまだなお。
少しだけ零れ落ちた気持ちは収まった。
こんな気持ちと爽快感久しぶり。
私は嬉しくて会社で腫れあがった指を自慢した。

「ねぇ、私一晩中ギター弾きあかしちゃったよ・・・・」と。

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