むかしのはなし

2005年9月16日 読書
ISBN:4344007417 単行本 三浦 しをん 幻冬舎 2005/02/25 ¥1,575

人は変化する世界を言葉によって把握する。どんな状況においても、言葉を媒介に誰かと繋がっていたいと願う…。語られることによって生き延びてきた物語である「日本昔話」を語り変えた書下ろし7編を収録。


本日勢いがついてネタバレ気味スイマセン。

三浦しをんは小説も悪くないけれど、エッセイが特に面白いのよ。
ボイルドエッグズというサイトで最新のものは無料で読めるのでちょっと覗いてみると面白いかも。
http://www.boiledeggs.com/siori/sback.html

この本は、昔話をベースをした短編集なんだけれど、途中からそんな設定を忘れてしまう。
あまりにも昔話とはかけ離れたストーリーなので、倉橋由美子の「大人のための残酷童話」あたりくらいのモチーフ配分を想像するとかなりがっかりするかもしれない。
その昔話をほんのり連想する程度のものですから、これから読む方はご注意を。

中でも女子高校生の一人称で書かれている「天女の羽衣」をモチーフにした話が好き。
こればかりは読んでカラクリを知らなければ何ともいえないけど、ぞっとするよ〜?

彼女の書く状況と行間から真実が溢れ出ているのに、一人称の「わたし」だけその真実に気づいてない。
純粋に本人だけ都合のいい現実を妄信してる状態なの。
悪趣味だけど、少し前にネットで有名になっていたいわゆる「妄信日記」があって、その彼の妄信っぷりにすごく似ていた。

実はこの短編たちはすべて「この世界が3ヶ月で終わる」ということで繋がったストーリーたちなのですが・・・
私はこういう短編が小憎らしい演出でリンクしていったりすることや、限られた時間の中での人間模様モノにすごく弱い。
ストラーイク!!

たかが本されど本!!だけどね。
すごくビビリなので、こういう話を見聞きするたびに、「世界があと3ヶ月で終わるならば私はどうしよう・・・」と真剣に未来予想しオロオロしながら目をウルウルさせる。
電車で本を読みながら、向かいのサラリーマンや学生たちを見ながら「この人たちもすべて無くなるのだ。」などと妙にリアリティを出して悲観的になるのだ。

それよりもあの人は交通機関ももう無いだろう「終わる世界」の、その90日の中で私に会いに来てくれるかしら?
そんな風になったらもう私のことなんか忘れてしまうのかもしれないな・・・
最後の一日じゃなくてもいいから、一回でも会えればいいな。
ペーパードライバーの私はどうやって移動したらいいのかな・・・

つまらないことでもう途中から頭がいっぱいになって一晩ウンウンと唸ってしまった。

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