ISBN:4048736434 単行本 絲山 秋子 角川書店 2005/10/29 ¥1,260
「逃亡くそたわけ」のときもそうだったけど、絲山さんとはタイミングがいいのかいつも賞ノミネートのときに、手に入ってリアルタイムに話題の作品を読むことができる。
彼女の作風をぼんやり捉えてはいたけれど、やっぱりいつものことながら行間が読み手に考える余地を残しすぎていて、登場人物たちの感情とか、二人の関係とかが明確に書かれていない。
結局彼女らはどうなってしまうのか?とか、どんな風に考えていたのか?とか全然わかんなくて、それを考えるのが楽しい作品なのかもね。(私はもうちょっと本に与えて欲しいけれど)前日同様にアブノーマルを描く作品でも「愛なんていらねー」はスカトロのカップルを真面目に描く話で生理的に受け付けない。あぁ・・・無理、駄目。スカトロだから全面的に駄目ってんじゃなくて、生活と密接した形でアブノーマルを描かれるのが駄目。ララピポと違って、駄目エロゾーンの話。
でもさ、今話題の「ニート」という題名にあえてしたならば、もうちょっと書き込んで欲しいな。
これじゃ全然タイトルを「ニート」にする必要もなく、ただなんか流行語で作者を知らない人や読書をしない人の目に触れるためにこのタイトルを選んだっぽい。
ただひたすらに流れていく日常はわかるけれど、それも少し丸投げすぎて、意地悪すぎとさえ思う。
ニートで駄目な彼になんとなく貢いで、なんとなく引き止めてしまう主人公。
その形は恋愛にすることも友情にすることもはっきり決められないまま、何年も過ぎてゆく。
私は「グレーゾーンのない人間だ!」といいつつ、はっきり形を決めてしまうことを怖がって、あやふやな形のまま何年も過ぎ去っていく関係にしたがる。その人の手を引き寄せることも、離してしまうことも決めることができず、やはりこの主人公のように相手の布団にもぐりこんで、その体温の暖かさに悶えたりしたりする。
大切な人と会う前にペディキュアを塗り替えたりして、やっぱりその剥げ具合とか、下から上がってきた新しい爪の長さで相手の不在の時間の長さを思い知って寂しくなったり。そういう細かい感情だけはすごくわかる。
曖昧なまま曖昧に捉えたこの感覚、これを読んだ他の人がどう捕らえるのかとかわからないな。
きっと私とすごく違うような気がするけど。
現代人の孤独と寂寥、人間関係の揺らぎを完璧な文体で描いた傑作短篇集。
かけだしの女性作家と、会社を辞め、引きこもりをつづけて困窮を極める青年との淡い関係を描く表題作。大阪の彼女と名古屋の育ての母との間で揺れる東京のホテルマンを描いた「へたれ」他全5篇。気鋭の傑作短篇集。
「逃亡くそたわけ」のときもそうだったけど、絲山さんとはタイミングがいいのかいつも賞ノミネートのときに、手に入ってリアルタイムに話題の作品を読むことができる。
彼女の作風をぼんやり捉えてはいたけれど、やっぱりいつものことながら行間が読み手に考える余地を残しすぎていて、登場人物たちの感情とか、二人の関係とかが明確に書かれていない。
結局彼女らはどうなってしまうのか?とか、どんな風に考えていたのか?とか全然わかんなくて、それを考えるのが楽しい作品なのかもね。(私はもうちょっと本に与えて欲しいけれど)前日同様にアブノーマルを描く作品でも「愛なんていらねー」はスカトロのカップルを真面目に描く話で生理的に受け付けない。あぁ・・・無理、駄目。スカトロだから全面的に駄目ってんじゃなくて、生活と密接した形でアブノーマルを描かれるのが駄目。ララピポと違って、駄目エロゾーンの話。
でもさ、今話題の「ニート」という題名にあえてしたならば、もうちょっと書き込んで欲しいな。
これじゃ全然タイトルを「ニート」にする必要もなく、ただなんか流行語で作者を知らない人や読書をしない人の目に触れるためにこのタイトルを選んだっぽい。
ただひたすらに流れていく日常はわかるけれど、それも少し丸投げすぎて、意地悪すぎとさえ思う。
ニートで駄目な彼になんとなく貢いで、なんとなく引き止めてしまう主人公。
その形は恋愛にすることも友情にすることもはっきり決められないまま、何年も過ぎてゆく。
私は「グレーゾーンのない人間だ!」といいつつ、はっきり形を決めてしまうことを怖がって、あやふやな形のまま何年も過ぎ去っていく関係にしたがる。その人の手を引き寄せることも、離してしまうことも決めることができず、やはりこの主人公のように相手の布団にもぐりこんで、その体温の暖かさに悶えたりしたりする。
大切な人と会う前にペディキュアを塗り替えたりして、やっぱりその剥げ具合とか、下から上がってきた新しい爪の長さで相手の不在の時間の長さを思い知って寂しくなったり。そういう細かい感情だけはすごくわかる。
曖昧なまま曖昧に捉えたこの感覚、これを読んだ他の人がどう捕らえるのかとかわからないな。
きっと私とすごく違うような気がするけど。
コメント
描かれた細かすぎるくらいに細かな部分が、私にはかなりツボでした。
でも、この作品自体はあまり好きではなく…これまでの作品全てを読んでいるので、意地で記事にしたようなところがあります。
あの、受賞作は「ニート」には収録されていない「沖で待つ」だと思うのですが。
意地でも記事にしたいって気持ちはすごくわかる気がします(笑)
私自身は、ちょっと絲山さんの作風は苦手かもしれません。
もちょっと世界を提示して欲しいというかなんというか・・・
あ、芥川賞はましろさんが正解なので記事訂正しておきます!
キリカさんの感覚に共感しました。
(読んでもないのに。。。)
TBさせてもらいました。
ども!
ニートの問題について書かれていたんですね。
あまり社会的なニートとしてのことは、この小説にはないですが・・・一度読んでみると面白いかもしれないですよ。