一千一秒の日々

2006年2月14日 読書
ISBN:4838715927 単行本 島本 理生 マガジンハウス 2005/06/16 ¥1,365

小さな明かりの灯った夜の中で、私たちは長い会話とキスを交わしながら、何度夜を明かしただろう。ふたりだけの愛おしい日々が溶けていく―生真面目で不器用な恋人たちを清新なイメージで描いた七色の連作短篇集。


あれれれ?ちょっと拍子抜け。

今回は連作短編集。
やはり最後にはぐっと涙がこみ上げるというか、泣くのを堪えるときに喉元が詰まる感じがするんだけど、心にあまり込み上げるものが少ないかな。あまりにもなボディブローを島本さんに期待しすぎです。私。

多分これで島本さんはコンプリート。順位的には
ナラタージュ>>生まれる森>リトルバイリトル>一千一秒の日々>シルエット ですね。(シルエットのあとがきはまた別枠で賞を差し上げたい。)
これは、読み手によって変わると思うんだけど、静かで狂おしい恋愛感情を求める観点でみると自然にこうなる。

あとがきにもあったように、どの主人公たちも隙だらけで鈍感で、相手の気持ちに気づいてるのか気づいていないのか、リアルならばイライラするんだけど、この人の語り口は私の心を穏やかに捉えるので気持ちいい。
恋の終わりを表現するのって、島本さんの右に出るものはいない。
内面的の煮えたぎった感情とは関係なく、新しい一日が始まり、どうしたってその中で暮らしていかなければいけない自分とその感情との葛藤。アンバランスな毎日がだんだん時とともにゆっくり薄まって融合していく様子。
この感覚が懐かしがったり、自分の感情を消化したくて、私はまた次も島本さんを読むよ。うん。
古傷に塩を塗って、その傷の痛さを思い出して悦にひたる。
やっぱ私ってMかしら・・・

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