だから山谷はやめられねぇ―「僕」が日雇い労働者だった180日
2006年3月17日 読書 コメント (2)
ISBN:4344010906 単行本 塚田 努 幻冬舎 2005/12 ¥1,470
大学院生である彼が、山谷という街を見続けた半年間。
彼には、住む家も持ちながら、仕送りも貰いながら、学生、に戻れるという最終的な逃げ道を作ったままでの山谷生活なので、実際の山谷に住む人たちの厳しさとは少し違う「垣間見た」というくらい。
しかし、私が思うのは食うや食わずで生活している山谷の人々の生活に触れるのは構わないけれど、「学生」という生活を持ち合わせている彼がその生活を垣間見る為だけに、山谷で仕事や食事(福祉からのボランティア)を受け取っていいのか?彼が仕事をしなければ、あと一人仕事が出来、一人が食事にありつけたはず。そう考えると少し悲しい気持ちになる。
そうは思っても、貴重な山谷での出来事を見ることができないので貴重なルポルタージュだと思う。
多分私を含め大半の人々が驚くだろうことは、山谷での生活は社会の最底辺であり、普通の生活がなんらかの事情で送れなくなった人たちが「仕方なく」いく最終的な場所なのだと勘違いしてたことだ。
勿論、再起をかけて山谷での生活を余儀なくしているものもいるが、多くの人たちは山谷での生活を楽しんでいるそうだ。
社会に混じって人としっかり関わっていくのは少し怖いし、責任や自信も伴うので重荷なこと、だが山谷にいれば過去も経歴も問われることなく匿名性を保ちながら適度に人とコミュニケーションをとり生きていけること。いやになれば立ち去ればいいし、心地よければ他愛もない話をしつつ酒を酌み交わしながら、ずっと山谷に居ればいいからだ。
恐ろしい!!
文中では触れてなかったけれど、これは現在ネットでしかコミュニケーションを図れない人たちと全く同じ状態じゃないか。
例に漏れず、私はコミュニケーションや情報収集などにかなりネットには依存しているので、今まで山谷で暮らすものやホームレスの人たちの気持ちはよくわからなかったけれど、これで自分自身との歯車が噛みあった。
そうか。そうだよな。自分がどこの何様かと語らずに同じレベルで物を言い合える状況ってすごく心地よくて楽しいもの。
現実逃避せず、人と触れ合って生きていこうと肝に命じておきます。
ごく普通の大学生の「僕」は、就職活動を前にしてドロップアウト。そして始めた東京・山谷でのドヤ暮らし。宿なし・金なし・家族なしの中年男たちと寄せ場や職安に通い、スポーツ新聞に掲載された求人を頼りに飯場の世界にも飛び込んでいく。彼らは、そして就職を選べなかった僕は、ダメな人間なのか?答えは肉体労働の中にある。だからひたすら汗をかく。今日も、明日も、明後日も―。ドヤ街の男たちと寝食を共にした一人の大学生による傑作ノンフィクション。幻冬舎アウトロー大賞大賞受賞作。
大学院生である彼が、山谷という街を見続けた半年間。
彼には、住む家も持ちながら、仕送りも貰いながら、学生、に戻れるという最終的な逃げ道を作ったままでの山谷生活なので、実際の山谷に住む人たちの厳しさとは少し違う「垣間見た」というくらい。
しかし、私が思うのは食うや食わずで生活している山谷の人々の生活に触れるのは構わないけれど、「学生」という生活を持ち合わせている彼がその生活を垣間見る為だけに、山谷で仕事や食事(福祉からのボランティア)を受け取っていいのか?彼が仕事をしなければ、あと一人仕事が出来、一人が食事にありつけたはず。そう考えると少し悲しい気持ちになる。
そうは思っても、貴重な山谷での出来事を見ることができないので貴重なルポルタージュだと思う。
多分私を含め大半の人々が驚くだろうことは、山谷での生活は社会の最底辺であり、普通の生活がなんらかの事情で送れなくなった人たちが「仕方なく」いく最終的な場所なのだと勘違いしてたことだ。
勿論、再起をかけて山谷での生活を余儀なくしているものもいるが、多くの人たちは山谷での生活を楽しんでいるそうだ。
社会に混じって人としっかり関わっていくのは少し怖いし、責任や自信も伴うので重荷なこと、だが山谷にいれば過去も経歴も問われることなく匿名性を保ちながら適度に人とコミュニケーションをとり生きていけること。いやになれば立ち去ればいいし、心地よければ他愛もない話をしつつ酒を酌み交わしながら、ずっと山谷に居ればいいからだ。
恐ろしい!!
文中では触れてなかったけれど、これは現在ネットでしかコミュニケーションを図れない人たちと全く同じ状態じゃないか。
例に漏れず、私はコミュニケーションや情報収集などにかなりネットには依存しているので、今まで山谷で暮らすものやホームレスの人たちの気持ちはよくわからなかったけれど、これで自分自身との歯車が噛みあった。
そうか。そうだよな。自分がどこの何様かと語らずに同じレベルで物を言い合える状況ってすごく心地よくて楽しいもの。
現実逃避せず、人と触れ合って生きていこうと肝に命じておきます。
コメント
てか、ガクセーが来るんじゃねぇ。
そうだよなー。そんな甘くないよね。
これは、落ちてしまった学生の話ではなくて、あくまでも民俗学の一環の人間ウォッチ的感覚が強いです。実際作者も仕事が散々決まらなくて一度自分のマンションに帰ってたりするし。
甘さは確かに見えますね。