ISBN:4048736280 単行本 歌野 晶午 角川書店 2005/08/31 ¥1,680
昨今のアキバブームやら(性的目的で)幼女をターゲットにした事件。
これを最近の作家たちはこぞって色々な角度から彼等を解釈しようとしているようにみえる。
これも歌野さんがロリ、ヲタ、引きこもり、ニート、そういうキーワードをふんだんに含めたストーリー。
実際のそういう人たちの「気持ち悪さ」を結構デフォルメしたような小説だったので、まぁこの嫌悪感。
太って脂ぎって、パソコンとアニメが大好きで大人の女性が嫌いで、無職でっていう類型的なキャラの主人公。
アガサ・クリスティはミステリ作家として有名ですが、生涯で6本の普通の小説を書いている。
その中で「春にして君を離れ」という小説があるんだけど、私にとってこの本は人は死なないが普通のミステリ小説の100倍怖いと思っている。
物語りは、ある老女がトランジットの為、ふと時間の余裕が出来、自分の平凡だったけれど幸せだった一生を振り返る。
最初、普通の幸せな老女なのだろうと読者は思う。主人公本人も思う。だけどそれは見せかけで、主人公が都合のいいことから目をそらし、自己を振り回してきたことが見え始める。中盤より、女のエゴだとか強欲なものがどんどん零れ落ちてきて、「私も気づかないうちに誰かを同じように傷つけてきたのかもしれないな」というボディブローでぐったりする小説なのだ。
この、物語のほころび方に今回の小説が近い。
普通の主人公だと思っていた真藤、でも読んでいくうちに彼の変質的なところや、異質なところ。
そして容姿やなりが見えてくる。覗き穴がどんどん広がっていくように映像がみえて、そして気持ち悪さを心に送り込まれる。
歌野さんの文章というのは、私にはとても相性がいいのでスルスルと胸に滑り込んでいくのだ。
少しだけ読むつもりが気づくといつも最後まで一気に読みこんでしまう。
今回もまた「葉桜〜」のように、ありえないどんでん返しを疑いながら、目をギラギラさせていたけれど、やはり最後にひっくり返す。途中の混沌さでもう頭の中を混乱させながら最後にきちっとした結果を提示する筆力はさすがです。
真藤数馬は冴えないオタクだ。無職でもちろん独身。
でも「引きこもり」ってやつじゃない。週1でビデオ屋にも行くし、
秋葉原にも月1で出かけてる。
今日も可愛い妹と楽しいデートの予定だったんだ。
あの「女王様」に出逢うまでは。
彼女との出逢いが、めくるめく悪夢への第一歩だった……。
戦慄的リーダビリティがあなたの脳を刺激する、超絶エンタテインメント!!
昨今のアキバブームやら(性的目的で)幼女をターゲットにした事件。
これを最近の作家たちはこぞって色々な角度から彼等を解釈しようとしているようにみえる。
これも歌野さんがロリ、ヲタ、引きこもり、ニート、そういうキーワードをふんだんに含めたストーリー。
実際のそういう人たちの「気持ち悪さ」を結構デフォルメしたような小説だったので、まぁこの嫌悪感。
太って脂ぎって、パソコンとアニメが大好きで大人の女性が嫌いで、無職でっていう類型的なキャラの主人公。
アガサ・クリスティはミステリ作家として有名ですが、生涯で6本の普通の小説を書いている。
その中で「春にして君を離れ」という小説があるんだけど、私にとってこの本は人は死なないが普通のミステリ小説の100倍怖いと思っている。
物語りは、ある老女がトランジットの為、ふと時間の余裕が出来、自分の平凡だったけれど幸せだった一生を振り返る。
最初、普通の幸せな老女なのだろうと読者は思う。主人公本人も思う。だけどそれは見せかけで、主人公が都合のいいことから目をそらし、自己を振り回してきたことが見え始める。中盤より、女のエゴだとか強欲なものがどんどん零れ落ちてきて、「私も気づかないうちに誰かを同じように傷つけてきたのかもしれないな」というボディブローでぐったりする小説なのだ。
この、物語のほころび方に今回の小説が近い。
普通の主人公だと思っていた真藤、でも読んでいくうちに彼の変質的なところや、異質なところ。
そして容姿やなりが見えてくる。覗き穴がどんどん広がっていくように映像がみえて、そして気持ち悪さを心に送り込まれる。
歌野さんの文章というのは、私にはとても相性がいいのでスルスルと胸に滑り込んでいくのだ。
少しだけ読むつもりが気づくといつも最後まで一気に読みこんでしまう。
今回もまた「葉桜〜」のように、ありえないどんでん返しを疑いながら、目をギラギラさせていたけれど、やはり最後にひっくり返す。途中の混沌さでもう頭の中を混乱させながら最後にきちっとした結果を提示する筆力はさすがです。
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