ISBN:408774681X 単行本 山本 幸久 集英社 2003/12 ¥1,575
ヒトミとアカコは27歳の女漫才師コンビ。苦労性のヒトミと天衣無縫なアカコ、性格も境遇も異なる二人だが、“本物の漫才師”目指して奮闘中! お笑いに賭ける青春を描く、傑作成長小説。

前回「幸福ロケット」で小学生のピュアな恋に心洗われた。
しかし、そのとき何気ないワンシーンに出てきたお笑いコンビが実は前作の主人公だってことを、後から聞いた。
もーっ!!これも伊坂方式ですか!出版順に読まなきゃわからないコネタですか!!読むよ!

山本幸久の文章ってまだ2冊目だけど、恐ろしいくらいに毒がなく、わかりやすくてストレートだ。
登場人物たちも嫌な奴はいるものの、なんだか他の小説に比べたらそれほどでもなく、なんだか道徳の本とか国語の副読本に出てくるような文章な気がする。
刺激が欲しいときには物足りないかもしれないけれど、疲れてるときにはすごく癒される文章だ。

アカコとヒトミは今時珍しいくらいに古い体質のお笑いを追及していて、テレビ出演もいや!コントもいや!
かたくなに舞台での漫才、ライブにこだわりつづけている売れない女芸人のコンビだ。
女同士のお笑いがセクハラがつきまとったり、女同士でいがみあったり、お金がなかったりの繰り返しなのだ。
だけどこの二人のひたむきさにだんだん胸を打たれていって、ベタベタだなぁと思えるネタも一緒に手を握り頑張ってビッグになってね!という気分にされるのだ。

話は最初に戻るけれど、この本を読んだあと「幸福ロケット」にこの主人公二人がチラリと顔を出す。
アカコとヒトミを知っている読者は、口を揃えて「あぁ、彼女達頑張ってるんだね、本当よかったね」と答えるのだ。
たかが小説の主人公だというのに、まるで昔自分が育てたかのように暖かい目をみんなしてさぁ。
多分、あたしもそうなんだ、と思う。
アカコとヒトミのやり方って不器用だけど筋が通っていてさ。私ならばきっとテレビにでて雛壇でて騒いでお金もらって、きゃー嬉しい♪って舞い上がるところを、自分たちでそれを許さない確固たる想いを持っている。
そんな彼女達が愛しくて、タニマチみたいな気分になってくるんだよね。これ(笑
清清しい青春小説でした。

コメント

nophoto
じゃじゃまま
2006年6月16日20:57

「幸福ロケット」私も心洗われました。そして残念ながら「幸福ロケット」を先に読んでいたので、アカヒトが出ているのに当然気付きませんでした。しかも思い出せもしないです。
アカコとヒトミを確認(再会)するために「幸福ロケット」購入しようかな、と思いました。

キリカ
キリカ
2006年6月16日22:44

コンニチワ。
なんか山本さんの主人公っていつもピュアでまっすぐでキュンときますよねぇ。
私も機会があればもういちど幸福ロケットの中の彼女たちに再会しに行きたいと思っております。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索