緩やかな反転

2006年7月3日 読書
ISBN:404873458X 単行本 新津 きよみ 角川書店 2003/03 ¥1,890
犯人と被害者の意識が入れ替わった? 渾身の長編ミステリー。

殺人未遂事件の被害者・亜紀子と加害者・光代、二人の身体と意識が入れ替わってしまった!?被害者のはずが、加害者として逃亡しなくてはならなくなった亜紀子は、光代がなぜ自分の命を狙ったのかを探り始める――

amazonで何度も何度も何度も何度も「キリカさんにおすすめな商品」としてピックアップされる新津きよみさんの作品を試しに読んでみました。面白かったです。

ある日、自宅に見知らぬ女性が尋ねてきて、その後気づくと、自分がその見知らぬ女性になっており血まみれのバットを握り締め立ち尽くす自分。そして隣に転がるのは頭から血を出している「元」自分の体。
他人からの見た目の通り見知らぬ「自分を殺した誰か」加害者として生きていくべきなのか、見かけは加害者だが殺された本当の自分として被害者として誰かに訴えればいいのか?そんな葛藤をする主人公。
そして決断をして自分を殺した「加害者」として生きていこうとする。加害者の持ち物や、洞察から彼女の人生を知って素知らぬふりで生活をはじめる。
その様子がホラーやサスペンスと違って単純に「明日全く見知らぬ女性」に自分が変身したら、どうするだろう?という悩みから始まるのだ。同じ女という体を共有しているけれど、トイレはどうすればいいのか?同じ下着をつけるのに抵抗はないのか?
子供のいなかった主人公が小さい子供を抱えて、彼等の情報を集めながら気づかれずに生活していこうとする。
そういう細かいディテール部分が面白い本だ。

最後にはまた勿論サスペンスやファンタジーのような結末が待っていますが、苦手な2段組本だというのにあっという間に読み終えてしまった。

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