クワイエットルームにようこそ
2006年7月24日 読書
ISBN:4163245200 単行本 松尾 スズキ 文藝春秋 2005/12 ¥1,100
トラウマというほどのものではないけれど戯曲を書く人の小説が面白かったためしがないので、あまり期待をしていなかった。芥川賞候補作というのは肌に合わないことが多いし・・・
ましてや、松尾スズキの意地悪さが苦手な私が手に取ったのは本当奇跡に近いだろう。
それがこれは面白いのなんの。
序盤のテンポ、ゲ●でうがいをする主人公のシーンから始まるこの物語。
うっ。駄目かもしれない、リアルに想像しすぎてしまう。と一度放りなげそうになりましたが本当にいいのこれ。男性が書いたと思えないリアリティのある女性共同体を描いてる。
精神病棟なんぞ、何十年も前から使い古されているネタなのに、主人公が入院した14日間、そしてそこで出会う人々が生々しい。心に風邪をひいているだけで実際は本当は普通の人よりもいい人なのよ?というようなありふれたシチュエーションじゃなく、彼女たちは病棟で過ごしたことを「なかったことにする」ために退院祝いに貰った連絡先やプレゼントをやぶり捨てる。
「中」の世界は決していいところでもない。狂った世界でもない。私は普通である。
そう自分で思えたのならば勝ちなのである。
しかし主人公は、一回りそしてもう反対に一回り考えすぎて少しおかしい。
物事を短絡的に捉えるんじゃなくて、ものすごく深読みしすぎてどっかあさっての結果を産みだす。
彼女はすごくまともだと思っているし、正論なんだけれど、その思考回路は少しおかしい。
そんでそのおかしい思考回路につきあってる気の良い彼に同情した。
そして心の中で私も謝った。同じようなうざい奴でゴメンよ。私と。
私もきっと周囲の人からすれば何でそんなこと考えるの?ってくらい反回転してるときある。
せめてもの救いが、主人公が現実となんとなく折り合いをつけられているところだ。
私も世間になんとか折り合いつけていけるよねという安心感もらった気がした。
恋人との別れ話から、薬を過剰摂取してしまった明日香は、意識を失っているうちに精神病院の閉鎖病棟に強制入院させられてしまう。
わたしは「正常」なの、それとも「異常」なの? 逃げ場のない閉鎖空間を舞台に、くりひろげられる葛藤の世界。冒頭の衝撃的なシーンに始まり、不運に不運を重ねていく明日香は、果たして絶望の淵に落ちてゆくのか。それとも……。
トラウマというほどのものではないけれど戯曲を書く人の小説が面白かったためしがないので、あまり期待をしていなかった。芥川賞候補作というのは肌に合わないことが多いし・・・
ましてや、松尾スズキの意地悪さが苦手な私が手に取ったのは本当奇跡に近いだろう。
それがこれは面白いのなんの。
序盤のテンポ、ゲ●でうがいをする主人公のシーンから始まるこの物語。
うっ。駄目かもしれない、リアルに想像しすぎてしまう。と一度放りなげそうになりましたが本当にいいのこれ。男性が書いたと思えないリアリティのある女性共同体を描いてる。
精神病棟なんぞ、何十年も前から使い古されているネタなのに、主人公が入院した14日間、そしてそこで出会う人々が生々しい。心に風邪をひいているだけで実際は本当は普通の人よりもいい人なのよ?というようなありふれたシチュエーションじゃなく、彼女たちは病棟で過ごしたことを「なかったことにする」ために退院祝いに貰った連絡先やプレゼントをやぶり捨てる。
「中」の世界は決していいところでもない。狂った世界でもない。私は普通である。
そう自分で思えたのならば勝ちなのである。
しかし主人公は、一回りそしてもう反対に一回り考えすぎて少しおかしい。
物事を短絡的に捉えるんじゃなくて、ものすごく深読みしすぎてどっかあさっての結果を産みだす。
彼女はすごくまともだと思っているし、正論なんだけれど、その思考回路は少しおかしい。
そんでそのおかしい思考回路につきあってる気の良い彼に同情した。
そして心の中で私も謝った。同じようなうざい奴でゴメンよ。私と。
私もきっと周囲の人からすれば何でそんなこと考えるの?ってくらい反回転してるときある。
せめてもの救いが、主人公が現実となんとなく折り合いをつけられているところだ。
私も世間になんとか折り合いつけていけるよねという安心感もらった気がした。
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