押入れのちよ

2006年7月25日 読書
ISBN:4104689025 単行本 荻原 浩 新潮社 2006/05/19 ¥1,575
今ならこの物件、かわいい女の子(14歳・明治生まれ)がついてきます…。幽霊とサラリーマンの奇妙な同居を描いた表題作ほか、「木下闇」「殺意のレシピ」「介護の鬼」など全9話を収録した、ぞくりと切ない傑作短編集。

ホラー短編集と銘打ってますがそれほどでもありません。
荻原さんのいいところを集めた、ほんのりホラー風味の少し不思議なストーリーたち。
これは面白い!最近の中ではダントツの素晴らしい短編集です。

ただ単純に「世にも奇妙な物語」のようなオチの綺麗な物語ばかりでなく、そこは荻原さん得意の「人間っていいな」スパイスが込められて優しいイメージの物語が多い気がします。
あ、勿論、狂気に取り付かれ、寝たきりの義父を苛め抜く「介護の鬼」などはシンプルに怖い話ですが。私の好きな作品はトップにある海外児童文学のような「お母さまのロシアのスープ」
ロシアの風景の中で二人の姉妹の目線から、その暮らしている風景やお母様との生活がみえる。
とてもフワリとした姉妹で仲がよくお母様とお母様の作る料理が大好き。風の香りを嗅ぐことも大好き。
最後まで彼女たちの目線から素敵な風景が描かれますが、そのロシア童話がいつかホラーな話にスライドするのだ。
読みはじめて、あらあら、相互リンクのロクハナちゃんが好きな世界だなと思ってお勧めしようかと思ったら、きっと最後絶叫してしまうに違いない。あ、いやフフンと鼻で笑って喜ぶかもしれないな。

正直、単純なトリックにもひっかかる私がオチを予想できる短編が多かったので、頭の回転の早い方は物足りなく思うかもしれませんが文章力で十分面白くみせてくれる作品です。

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