太陽

2006年9月5日 映画 コメント (2)
天皇ヒロヒト彼は、悲劇に傷ついた、ひとりの人間。

闇は、まだ明けなかった。1945年8月。その時、彼は庭師のように質素な身なりをしていた。その人の名前は、昭和天皇ヒロヒト。宮殿はすでに焼け落ち、天皇は、地下の待避壕か、唯一被災を免れた石造りの生物研究所で暮らしていた。

昭和天皇は思っていることを大声で吐露したりしない。
ただ周囲の人々の言うとおりの毎日を過ごしているだけなのだ。
だけどこの閉塞感と窮屈さで見てる最中とても息苦しくて終わったあともぐっていた布団から顔を出したような気持ちになる。

こちら有名映画ブログの町山さんのところで取り上げられていてから日本で公開するのを半ば諦めながら待っていました。
アレクサンドル・ソクーロフ監督はロシアの方で、「20世紀の権力者」3部作、ヒットラー、レーニン、そしてこれが最後、昭和天皇を描いた作品です。かといって彼を殺戮の独裁者として描いたものではなく、細かいニュアンスまで日本人でも違和感のない様子で日本の皇室を描いています。昭和天皇の淡々とした毎日の所作、たとえば海洋生物を研究したりするところや日常生活の一部をカメラで切り取っている。
そしてその背景に終戦の日本を映し出しているのだ。
淡々とした映像だと退屈になる客も多いが、日本人の好奇心とマッチしているからなのか、お上が引出しをあける行為も「ほほぅ。こうなっているものなのですか」と思い、最後までスクリーンに釘付けになるのだ(勿論これはフィクションなので想像の中なのですが、現実にこうであるといっても遜色ない昭和初期の映像なのです。)

とにかく一見の価値があると思うので、公開映画館はとても少ないですが、この終戦の日本と昭和天皇をシニカルに綴ったこの映画一人でも多くの人に見ていただきたいと思います。
ちなみに銀座シネパトスは立ち見が出るほどの人気でした。

私じゃ映画のよさを伝えきれなくてもどかしいので町山さんのところのブログリンク乗せておきますね。
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20060318

コメント

てる
てる
2006年9月8日0:26

こんな話を聞いたことがあります。

ある公式の場で、御付の人が硯で墨を擦り、昭和天皇へ差し出しました。
験し書きをした陛下は「墨の色はこれで良いかな?」と聞いたそうです。
すると御付の人は「もう少し濃いほうが良いかと思います。擦りなおします。」と言った。

--------------------------------------
実は墨が薄かったのだが、「薄い」と言うと御付の人の失態になるので、聞きなおしたらしい。
 
何となく感心した逸話です。

キリカ
キリカ
2006年9月8日20:06

そのお話で感心するならばきっとこの映画はたまらないはず。

というかフラリと一人で銀座に出かけたのでお誘いすればよかったですねー。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索