エバーグリーン

2006年11月9日 読書
ISBN:4575235555 単行本 豊島 ミホ 双葉社 ¥1,470
人をつなぐものは…約束。中学校の卒業式で、10年後の再会を約束したシンとアヤコ。夢をかなえるため、シンは地元に残りアヤコは東京に向かう。それぞれの日常の中で、時間も距離も離れた2人の心は、揺れていた。ほろ苦い青春の日々を通して描かれる切なさにキュッとなる恋愛小説。

すごくキラキラした小説で、いいなぁこういう学生時代と思った。
とにかく豊島さんはエッセイでも思うけれど、昔のことを半ば執念深く覚えていてその描写がとても細かい。私まで当時の知らない場所の草の香りを感じるかごときの描写が好きなのだ。

でも実は私が中学の卒業頃、隣の席に座る男子と約束をした。
「20才になったらまた会わない?」
いつ会おうとしたのかとか、どこで会おうとしたのかとかすっかり忘れてしまった。彼との間にラブい関係は微塵もなかったけれど、とても仲良くて20才になったらまた会いたいねと他愛もない約束をしたのだ。
いい加減な約束で、私たちは20才になっても会うこともなく十数年たってしまって、この本を読んでかすかにそんな約束をしたことを思い出した。

こないだ実家に帰ったときに、その彼は小さな女の子を抱っこして歩いていたんだけれど、挨拶をすることもなく自分を気付かれることもなくすれ違った。(ま、私は中学時代眼鏡をかけたクラスでも全然目立たない女子だったしね)現実はこんなものだけれど、やはり豊島さんの小説には胸をいつもキュッと掴まれて自分の子供時代を思い出す引き金となる。

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