四度目の氷河期

2006年12月17日 読書
ISBN:4104689033 単行本 荻原 浩 新潮社 ¥1,890
ぼくは今日から、トクベツな子どもになることにした-。何をやっても、みんなと同じに出来ないワタルは、ある日死んだ父親に関する重大な秘密を発見する。その瞬間から、少年の孤独なサバイバルゲームは始まった…。

本読み廃業気味での久しぶりの一冊。
なんとなく気分が乗らないのですよ。最近。
それよりも音楽や洋服を鏡の前で組み合わせてるほうが楽しい。
仕事で頭を回転しすぎだったせいもありますが、このあいだ久しぶり時間があったときに荻原さんの新刊、本作を読んでみました。

また彼の新境地がひとつ広がった気がします。
初期の荻原さんはコメディ路線、そして「僕たちの戦争」や「明日の記憶」などの切ない作品。そしてこれはまた違った一人の少年の内面の成長を描いた作品なのだ。中年の悲哀ではない少年の悲哀を描いた、現実版みにくいアヒルの子というべきでしょうか?

緩やかに彼の成長を描き、容姿や身体能力が人と少し違う以外は普通の青年の成長を描いただけなのになんだか一人の生涯をずっと眺めてきた気分になる不思議な感覚。これは男性の思春期や第二次性徴を詳細に書いているのでまた男性がみると感覚が違うのかもしれません。

主人公の掴む現実が辛く険しいものだったとしても、心の拠所を抱えて生きているのが素敵。
最近地球温暖化の危惧がニュースで知らされているが、この作品で静かに感じることができる。

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