ISBN:4794215029 単行本 斉藤 寅 草思社 ¥1,470
2000年12月30日深夜に発生した世田谷一家殺害事件。いったい誰が、何の目的であの残虐な事件を引き起こしたのか? 発生以来事件を追い続けた著者が、決定的証拠をもとに実行犯を特定した衝撃の一冊。

最大の未解決事件として今だ時々話題になる6年前の一家殺害事件、その謎を解き明かした本。
という触れ込みです。事件に関しては下記のwikiを見ていただければ詳細がお分かりになると思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%94%B0%E8%B0%B7%E4%B8%80%E5%AE%B6%E6%AE%BA%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6

えーと・・・ネタばれといいますか、これからこの本を読もうと思われる方で、内容しりたくないというかたはページ閉じてしまってください。

今回のこの本で書かれているのは実際公にされていない事実として、外国人の留学生を犯罪ごとに離合集散させたクリミナルグループというものに注目し、この事件の犯人と指紋も一致し、仲間からの証言もとれた。ということを書かれている。
しかしこの本の出された後、警視庁がこの本に向けて異例の記者発表。
「世田谷一家殺人事件本に警視庁がコメント」
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20060719-63062.html

警視庁の発表によれば、この本には事件と相違してる点が多く事実と根本的に異なると発表。
私の素直な感想をいえば、多くの中からいい情報だけをピックアップして書いているのであろうが、外国人犯行グループが金のために離合集散を繰り返すクリミナルグループというものを結成し、危機管理の認識の甘い日本で残酷な事件を繰り返しているという点は同意するけれど、そのクリミナルグループがインターネットで連絡を密に取り合って、計画を練っているとは考え難いのだ。そこらへんがなんというか・・・ネットを知らないオッサンのネット妄想のように感じる。実際ネットで出来ることと出来ないことははっきりしているし、ネットは必ず足や形跡は残りやすいので、大雑把なやり口で犯罪を行う彼らには向かない気もする。それに、それほどまで計画性で、神経質な行動をするわりには文中ペらペラと仲間や事の詳細を語る訳知り顔が出てくるのも信憑性にかける気がする。

警視庁の異例のコメントも先に情報をリークされ負け惜しみのような気もしないこともないですが、多分にこの事件の犯人は色々な情報をみると外国人犯罪グループの犯行であるように思う。
しかしこの本のすべてが真実というのも、違う気もするので一つの情報として見るのが正しい読み方であります。
ISBN:410301931X 単行本 西原 理恵子 新潮社 ¥1,000
私の家は「パーマネント野ばら」。
山あいのハウス農家のおばあちゃん達の
パンチパーマを一手に引きうけます----。
「どんな恋でも、ないよりましやんか----」。
 娘を連れてふるさとの村に出戻ったなおこ。その母が営む、村にひとつのパー
マ屋さんは、女のザンゲ室。そこでは女たちが、恋にまつわる小さな嘘を日々告
白している。男に裏切られても、泣いて笑ってたくましく。おとなの女の恋心を
描く感動の物語。

もしかしたら考えすぎかもしれないけれど、サイバラが少しだけ代弁行為のような気持ちで書いた気がするな。
結局、サイバラは鴨ちゃんと共依存で復縁した感じなのですが、男は単純で馬鹿で、でもその男をいつも許すのは男を馬鹿だとわかってる上で許す女であって、そんな女はさらに大馬鹿なことを、この本で自らにも言い聞かせたかったのではないのかと。

女は、大人になれば白馬に乗る王子様なんかいないことは当に気づいてしまっているし、好きという言葉が永遠に有効でないことも知っている。簡単に股を開いてしまうこの街に住むおばちゃんたちも実はそんなことが大好きなわけじゃなくて、小さな頃飼ってた犬の話をしたかったり、手を握って「今の君でいいんだよ」といってくれる暖かい手みたいな、手に入りそうで実はすごく入りにくいものをいつも欲しがってる。その為のプロセスでてっとりばやく股を開く。
前にどこかで読んだ話で「女ってすげーよな。あんなゴツゴツして毛深い生き物を愛して抱き合えるんだぜ?」といっていたが本当そうだよね。さらにそんな男に何度も裏切られたりしても、懲りる気配もない。

相変わらず情と切なさを描かせたら天下一品の漫画家で、彼女の作品を見るといつも自分がすごく精神的に贅肉を抱えてて、さらに無駄なものを欲しがってるように感じる。生きていくのに本当に必要で欲しいものはほんのちょっとのモノなんだよ。家族とか暖かいものとか。その欲望の代わりに私は服や靴を買い漁ってるのかなぁなんてぼんやり考える。
まー、永遠なんて言葉は信じていないのですが、自分の存在価値を再認識するために嘘とわかっていてもその場だけ安心出来る言葉が欲しい生き物なんですよ、女って。とくに私って、褒められて伸びる子ですから。

終末のフール

2006年10月12日 読書
ISBN:4087748030 単行本 伊坂 幸太郎 集英社 ¥1,470
あと3年で世界が終わるなら、何をしますか。
2xxx年。「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されて5年後。犯罪がはびこり、秩序は崩壊した混乱の中、仙台市北部の団地に住む人々は、いかにそれぞれの人生を送るのか? 傑作連作短編集。

ベトナム呆けで本は読めてません。
風邪もこじらしているので、電車ではぐったりしてしまって本を広げると頭が痛くなるようです。
の、中でもやっと回ってきた伊坂さんの新作(既に数ヶ月たってます)は欠かせません。

小惑星が8年後に地球に衝突し人類がすべて滅亡することがわかり、それから5年たった話。
略奪や殺人などに走ったり、色々なデマゴギーに踊らされて迷走する人類。
暴走を繰り返した人たちも5年が立つうちに諦めて失速して、黄昏てくる。
あと3年をどう有意義に過ごすか考えてきはじめて来た頃の人々の話。

去年の三浦しをんの「むかしのはなし」を初め、こういう「世界終焉もの」というのは己の妄想をして泣いちゃって駄目だ。
勿論伊坂ワールドで色々な家族風景を描かれているのもいい話なのですが、(今回いい意味でも悪い意味でも伊坂色が薄く普通っぽい気もします)例えば自分がこの立場に置かれたらどうしようって想像して泣いちゃうのだ。
会いたいなと思うあの人は、そんな時自分のことを鼻くそほども思い出さないだろうとか考えちゃうとホロホロと涙が出る。

あー。涙とまんないっす。もうこういう地球が終わる話はもう読むのやめよう。悲しくなる。

サプリ 1 (1)

2006年10月11日 読書
ISBN:4396763352 コミック おかざき 真里 祥伝社 ¥980
恋と仕事と。

真面目過ぎたり、
一生懸命過ぎたり、
社会人しながら
女するっていうのは
何かが過剰になってしまう、
気がする。

ワンクール前に月9でやっていたものの原作漫画ですが、最近中学生の頃のように会社で漫画がぐるぐる回っていて、その中の1冊で来ました。同世代の女性がはまる漫画って面白いなぁ。

私は基本的にドラマはおろかテレビをつけないことが多いので、このドラマについての知識は皆無。
スラリとした長身の伊藤美咲にちっこい瑛太と亀梨君を絡めた凡庸な恋愛ドラマだと思ってました。
視聴率をとれるとはいえ、なんでこんなキャスティングにしちゃったのかなぁ??
原作のキャラクターは100倍魅力的で仕事は命がけなんだけど、それにちょっと疑問を感じていて、恋愛にはなんだか臆病で、でもでも!温もりも欲しくて、その方法がわからないっていう不器用でかっこかわいい女性なんですよ。
こう・・・伊藤美咲みたいに丸ごと女の子!って感じではなくて、もっともっと女性に好まれる女性像。
篠原涼子のほうが適役だったと思います。

しかし広告業界ってのは女性でも徹夜続きで緻密に企画を作り上げていってもクライアントの一声で全て振り出しに戻ってしまう。私は放送業界でしたが、スタジオ勤務の技術だったので、その時点ではもう既に撮影が終了していて、仮編集も終わってる段階での作業になります。悩むところはあっても、既に素材は限られているので半歩づつでも戻りつつもゴールに向かっていくんです。待ち時間は多いけれど、デスクが上手にシフトを組んでくれればそれほど徹夜をせずにも済むし。
以前話したように、大学の授業でCMの脚本を20本書けという宿題があり、それはそれは産む苦しみを繰り返したんですよ。広告業界の凄まじさのほうに目を取られましたけどね、私は。
あ、まだ2巻までなので彼等の恋の行方とか新キャラとかがどう絡んでくるのかよくわかりません。
楽しみだな。ふふふ。
ISBN:4063721914 コミック コンノ ナナエ 講談社 ¥650
笑えて泣けて、しかもH! ウワサの“ぶっちゃけ赤裸裸コミックエッセイ”がついに単行本化! 驚きのアメリカン情報もい~っぱいで、ただ今人気沸騰中!

ダーリンは外国人から一歩進んだ漫画。

なんだか30を過ぎてから独身女友達が外国人との恋愛に走ってるのです。もうみんな日本の男に飽きちゃった?
あたしも一回くらいトライしてみるべき?というかどこで知り合いになってるの?
私には縁もゆかりもない話で寂しいのですが、異文化コミュニケーションを知りたくて読んでみました。

ダーリンは外国人は人様にお聞かせしても恥ずかしくない話ですが、今回はそっから一歩踏み込んだ、ちょっと気になるあのこと、とか あのことの話が乗せられてるのですよ?奥さん!
作者のコンノさんは旅行先の船上レストラン?で知り合ったウエイターの彼が忘れられず、日本に帰ってからその彼に手紙を送り、彼との連絡にこぎつけ、そこから遠距離恋愛が始まる。そこから見事にゴールイン!!
そんな彼との付き合いから日本人の付き合いと違うことを面白おかしくキュートな絵で漫画になっている。

さて、みなさん外国人との恋愛経験ありますか?
例えば欧米人が(男女問わず)全部下の毛を剃ったり整えたりしていることだったり、あの部分があのところがどうとかぶっちゃけて書かれています。作者のダーリンの体の弱い父が、この本の出版される前に亡くなったようで、是非この本を見せてあげたかったとありましたが、いいんでしょうか?こんな話。
あ、彼女の話では俗説になってる欧米人のアレが日本人のアレと比較してどうとか書かれてますので気になる男性諸君は立ち読みでも。
飽きもせず雑誌KISSが出るたびにホタルノヒカリで悶絶しているのですが、なかなか共通の趣味を持てない会社の同僚にホタルを貸しまくったら、みんな一丸となれた。会社の仲間ってのは悪くないけれど、どうしても話題が会社の噂話一辺倒に偏りすぎて、たまに悪質な集団となるじゃないですか。特に女子は。それはそれでコミュニケーションの一貫なのですが、こういうひとつのものをあーだこーだいうのも楽しいものです。

で、ひとりの子がそういえば大昔のひうらさとるの漫画を持ってるというので、またこれをみんなでグルグル廻して大騒ぎ。今のホタルはリアルタイムだからあまり感じなかったけれど、ひうらさとるってものすごく時代を漫画に入れる人だったんだなぁ。この漫画をはじめおよそ20年くらいの漫画を10冊近く借りたのですが、もうこっぱずかしい!!
ちょっと空想にふけった主人公に友達からの突っ込み「なに松本小雪しちゃってるのよー!!」
松本小雪!!
思い出すのに数分かかりました。ヒーローの名前もバクチクや当時流行のバンドのメンバーの名前がほんのり恥ずかしい(笑

小学生当時は大人との恋愛(キスか結婚がゴールのピュアなやつね)に憧れたものですが、散々くたびれた大人になってから読むと10歳のとき知り合った彼(当時19歳)が彼女が結婚できる年齢、16歳になったと同時に迎えにくるなんて立派なロリじゃないですかっ!?
少女漫画家ってすごいなぁ。記憶力がいい私でも今例えば中学生が主人公の漫画書けとかいわれても、中学生のキュンとするものなんてわからないですもの。ということで、お尻をムズムズさせながら昔の作品読みましたよ。マイエンジェル(←こういう表現が多かったのです)
ISBN:4408012424 単行本 ブルーガイド海外版出版部 実業之日本社 ¥1,722

というわけで前日になってもスーツケースはからっぽで何をもっていったらいいのかさっぱりよくわからない。社会主義とか共産主義とかよくわかんないんだけど・・・迷彩とか着ても顰蹙じゃないの?deathjazzとか書いてあるTシャツはちょっとヤバイよね。なんか私の持ってるTシャツってハードなデザインばかりだよ・・・。
ワンピ着たいな。でもスニーカーにワンピがファッション的にどうだろうか。いっそペタンコの靴でいっちゃおうかな?悩みながら解熱剤飲み飲み頑張る。
結局ワンピ諦めきれず、持っていく。スパッツとニット帽と合わせればスニーカーでも似合うか・・・

今回は友達に手配をお任せしちゃったので、当日成田に向うだけ。
ヒンヒンいいながら準備してますが、興奮してさっぱりネムレナイー。
ISBN:4883810291 単行本 西原 理恵子 スターツ出版 ¥1,260
旅行のこと、お酒のこと、そして離婚のこと…。カモが綴る、喜怒哀楽てんこ盛りの爆裂エッセイと、ばらっちが描く強烈まんが、最後の競演!?犬も喰わない夫婦喧嘩を、紙面で堂々と繰り広げるアッパレ(元)夫妻の傑作集、ここに終結。

無理やり会社に行ってみたけれど、頭がぼーっとしてなんとなく集中力が足りない。午後になって、これは相当熱が出てるなぁという感覚があったけれど、どうしても旅行までにちょっと働いておかないと帰ってきて席がなくなってるのではあるまいか?という繁忙状態なので頑張りました。17時くらいになってもうここらへんで敢闘賞をください!と言い残し会社の近所の病院に駆け込むと39度オーバー。こりゃ集中できないはずだ。診察室で点滴打ってもらいながらボンヤリしてると綺麗なOLさんが診療室へ。水虫ですってよ??
点滴は即効力はあるそうなのですが、持続力がないらしく、そのあと薬を受け取った頃にはすっかり熱も引いた気がしていたのですが、家につくと再び38度近く。またあがってるやん!大人しくカモメールみながら就寝。

酒を飲みまくり吐血した鴨ちゃんのプロセスをみる。
これとアジアはいつもサイバラの漫画だけ読んで途中で飽きてしまう。
鴨ちゃん。本当ごめん。でもお酒辞めたほうがいいっすよ・・・。

あぁ。これを最後に彼らはコンビ解散というか離婚したみたいで、それはそれでその後もサイバラの筆に迷いも狂いもなく相変わらず漫画は面白いのでよかったのですが、最近どうも復縁したっぽいですね。
彼女は女性作家にありがちな私生活のせいで作品がつまんなくなるってのはないと思いますが・・・

人生激場

2006年10月2日 読書
ISBN:4104541028 単行本 三浦 しをん 新潮社 ¥1,470
身持ちはかたく、身のまわりは(なにかと)騒がしい二十代(後半)。プレーンな日常を「非日常」に変えてしまうマジカルなツッコミと冴えまくる嗅覚。『週刊新潮』も白羽の矢を立てた気鋭作家の身辺雑記集。

ワルツで朝帰りしてから、久しぶりに39度とかいう数字をみて気持ちですっかりやられてしまい、うんうん唸って動くこともできない。
もしかしたらインフルエンザかしらなどと頭をよぎって、なんとしても旅行までに治さなければとゆっくり休んで三浦しをんを読んでおりました。大体今週は有休とりまくりなのに、さらに病欠までして本当に迷惑千万で同僚に申し訳ない気持ちでいっぱいなのです。トホホ。

このエッセイは新潮に連載してるということで、いつもの腐女子的妄想にリミッターがかかっていて非常に読みやすい。
いや、いつも読みにくいというわけではないのですが、いい男の大群をみたときに、その中にダイブしたいと思うことはあれど、「あの男同士がくんずほぐれつして きゃーーー!」とかいう発想には行き着かないのですよ。私。毛嫌いするわけではないですがその世界の住人ではないようなのです。
ISBN:416766089X 文庫 伊藤 理佐 文藝春秋 2005/09/02 ¥580
男なし、お金なし、信用なし。そんな三十路に突入した著者が7千万で家を建てることを決意!不動産屋は敵なのか?銀行へお金を借りに行くと、どんな応対をされるのか?理想の間取りは実現するのか?「人生最大の買い物」を実行に移すべく大奮闘の日々を綴った爆笑ドキュメントコミックがついに文庫化!これを読めば、あなたも家が建つ。


ほとんどの人がそう思うように、えびちゅで彼女を知って、でも私にはあの漫画駄目エロゾーンだった。正直ひいちゃった。(もしかしたら今ならガハハと笑うかもですが)
それから結構彼女の漫画から遠のいていて、最近ダビンチの付録別ダで不定期連載してる飲んだくれエッセイ漫画「りさずばー」にはまった。のだめの二ノ宮さんもいい加減酷い酔っ払いだったけど、彼女の酔いっぷりも酷いものでそりゃ笑える。すっかり彼女を見直してバックナンバーからエロ要素があまり控えめそうなエッセイ漫画を探して、これをピックアップしてたんだけど、ふと待ち合わせまで時間のあった時に買った。

彼女は売れっ子漫画家なので29歳で一戸建てが買えたわけなので、一戸建てを作りたい人の指南書になるかどうかは怪しいけれど、漫画として非常に面白いと思う。女の子は多かれ少なかれ自分の家に対して、願望があるのですが、一戸建てというゼロからのスタートだとこんなにも面倒くさいプロセスがあるのか。ふーむ。ま、私には縁のない話ですが・・・
ISBN:4838715803 単行本 奥山 貴宏 マガジンハウス 2005/04/14 ¥1,470
余命わずか、ガン末期の「オレ」が語るバイク、ドラッグ、クラブ、そして友人イデイ…肺ガン!)B期、余命2年を宣告された著者が、闘病記「31歳ガン漂流」「32歳ガン漂流エボリューション」につづけて放つ自伝小説。J・ケルアック「路上」へのオマージュをこめたノンフィクション・ノベル!

ご存知の通り作者の奥山さんはこの本の出版された数日後、余命宣告通り肺がんで亡くなりました。私は彼のひょうひょうとしていて、ニュートラルに生き、シニカルに世界を眺めているくせにそんなつまらない世界で生きることに固執しているところが大好きだった。
彼が亡くなった後、しばらく泣いて呆然として、彼の本が読めないなと思った。
ネットでよくありがちなように黙って名前を変えてサイトを移転して、どこかでひっそり狡猾な文章を書いてるんだと思い込むようにしていた。そう思えば彼の不在が楽になるなと。
勿論彼とは知り合いでもなんでもなくただの1ファンであったのだけれど、それでもすごく悲しかったんだよね。テレビと文章でしか知らない彼を。

やっと1年以上たって彼の本を手にとる気になった。
でもなんだかこれは運命な気がする。去年の私は少しクラブとの距離を取っているころで、この本を読んでも判らない気持ちが大きかったと思う。今の私は毎週クラブで踊って騒いで混沌として、その時間を楽しんで、この主人公と同じなのだ。(勿論私はドラッグや窃盗もしてないし、そのことを賛美することもしませんが)なんだかこういう時期にこの本に巡りあえたことも運命な気がしてならない。

彼が駆け抜けた30数年の間の出来事とノンフィクションを交えての私小説。
スピード感があって、命なんかいつでもくれてやるぜと言いながら走り続けていた彼に下された最後の結末。本を読み直した後、もう一度彼の残されてるブログサイトにて彼が侍の恰好をしている画像を見つめながら涙を流した。
こういう言葉はありふれすぎて、使うことは好きではないし、そんなことはありえない。
もし生きていたら彼が今どんな言葉をつむぎ出すのかなぁと想いを馳せる。
でもなんだかこれから普通の人間が生きる50年分くらいのものを彼はこの数年間に文字に込めることが出来たのではないかなとも思う。

陰日向に咲く

2006年9月25日 読書
ISBN:4344011023 単行本 劇団ひとり 幻冬舎 2006/01 ¥1,470
お笑い芸人・劇団ひとり、衝撃の小説デビュー! 「道草」「拝啓、僕のアイドル様」「ピンボケな私」ほか全5篇を収録。落ちこぼれたちの哀しいまでの純真を、愛と笑いで包み込んだ珠玉の連作小説集。


超有名になりましたこの本、劇団ひとりの処女作。
評判がとてもよいので読んでみました。彼が以前テレビでインタビューされていたとき読書をほとんどしていないと言っておりましたが、それは嘘でしょう?でなければ、今有名作家がこぞって書いている手法、短編同士が微妙にリンクする連作短編集書かないでしょう。彼が素でこれを書いたならば本当に天才かもしれない。ビギナーズラックなのか?

以前紹介した「ララピポ」が底辺を這いずる人の連作短編集なら、こちらはちょい駄目人間の連作短編。いや。ちょいじゃないかな?アイドルに給料全部投資して貧乏生活してみたり、家族と仕事が立派にありながらホームレスに身を投じたり駄目人間たちですね。そんな彼らがほんの少しづつリンクしいている世界。まさに陰日向に咲く人々の話なのです。

あっというまに読んでしまうけれど読書家でも中々楽しめ、活字が苦手という方にもお勧めの万人に進められる本だと思います。
彼の才能は次回作を読んでから判断したいと思いますが、ひな壇をにぎわすキワモノ芸人というよりは文学に邁進したほうが、彼の人間描写力を生かせる気がします。
アジアのスター顔で私は彼のことが生理的に駄目だったのですが、ちょっと見直しましたよ。うん。

配達あかずきん

2006年9月19日 読書
ISBN:4488017266 単行本(ソフトカバー) 大崎 梢 東京創元社 2006/05/20 ¥1,575
「いいよんさんわん」―近所に住む老人に頼まれたという謎の探求書リスト。コミック『あさきゆめみし』を購入後、失踪した母の行方を探しに来た女性。配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真…。駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の良いアルバイト店員・多絵のコンビが、さまざまな謎に取り組んでいく。初の本格書店ミステリ、第一弾。

同じ出版会社の作品ですが先日読んだ「インディゴの夜」。ホストが色々な難事件を解決していくお話でしたが、それと同類のミステリ短編集、こちらは書店員が主人公。ミステリというほどのものではないですが、少しの手がかりで事件を解決していく。本に事件の鍵が握られているという短編集です。

なので装丁が同出版の色々なジャケットのコラージュで埋め尽くされているのですね。
私はなんとなく「配達あかずきん」というタイトルの響きだけで、この本を読みましたが、こちらほぼ処女作に近いようで、それにしては堂々たる文章の落ち着いた雰囲気に感心いたしました。
よく本やテレビにありがちな版権や著作権の問題か実在のタイトルや作家名を似通った胡散臭い名前にして登場させることがありますが、私はあの胡散臭さがどうにも恰好悪い気がして嫌いだ。
こちらどの作品も実名&実タイトルばっちりと載せてありますので、推理シーンなどもうバンバンと書名が出てきます。読書家や書店員にはニヤニヤしてしまう楽しさがありますね。まったくベクトルは違いますが、「暴れん坊本屋さん」と同じ層の人間が喜ぶ本だと思います。

しかし金田一やコナンでもいつも思いますが、死にかけて切羽詰った人間はダイイングメッセージとかそういうのを難しくせずに犯人の名前をじかに書いたらいいと思います。
ISBN:4592131967 コミック 宇野 亜由美 白泉社 2000/02 ¥980

来月頭に海外に行くのですが、やっと詳細の日程が決まりガイドブックを買いにいったのに帰りにこれを持って帰ってきました。あれ?おかしいね・・・。しかもamazonでみたならば、すでにこれ1円ですよ?
少し前に旅行が決まっていたにも関わらず、ユナイテッドやこちらなど旅行に対して不安になりそうなものばかり目に通しています。

こちら大分前の作品で今でテレビのコメンテーターやさるさる日記のランキングで有名な勝谷誠彦が世界中のあちらこちらにいったルポ漫画で鳥頭とほぼ変わりませんが、こちらはわりと有名リゾート地に限った漫画になっており、笑えます。と同時にハワイやオーストラリアでこんなに不安な出来事が起こるならば来月私の行くベトナムにはどんな恐怖が待ち受けているんだ?と不安絶好調。やはり自分はMですね。はい。

初めての海外旅行は部屋を綺麗にして中学生の頃かいたポエムもどきの日記も全部処分してから出かけました。
今回は実家にまで処分しに行く時間がないので、たかのてるこ方式で絶対に部屋を他人に踏み込まれたくない状況にして出かけたいと思います。

下北サンデーズ

2006年9月15日 読書
ISBN:4344012062 単行本 石田 衣良 幻冬舎 2006/07 ¥1,575

春から大学生になる里中ゆいかは、芝居のおもしろさを生まれて初めて教えてくれた劇団「下北サンデーズ」に入るのが夢で…。演劇の街・下北沢を舞台に贈る、弱小劇団奮闘グラフィティ! 『パピルス』連載を単行本化。


私の中では大絶賛のドラマ「下北サンデーズ」の原作。
先週に打ち切りで終了いたしました(涙
周囲に聞いてみれば、絶賛していたのは90年代の小劇場ブームに乗った人か元劇団員。
そうなんです。これはドラマのストーリー云々を楽しむ作品ではなく端々に出てくるチョイ役や小劇場でしか通じない固有名詞をパロったギャグに笑う作品で、それらがわからない人にはどんなに面白さを伝えてもわからなかった模様で私だけが毎週出てくるケラに腹を抱えて笑っていました。だってゆいかの友人が野田君と三谷君ですよ?

こちらの原作あっというまに読み終えてしまったけれど、ドラマの魅力も原作にはないし、小劇場界の共通語も正直ビミョー・・・。
同じ世界をもっとえぐく描いた「劇場コモンセンス」のほうが秀逸でした。(ま、そちらの作者の前田さんは小劇場の人ですしね)
なんといっても小説はドラマよりも爽やかにサンデーズを描きすぎていて、エピソードは絶対絶命なものが多いのだけれど、サラっとしすぎ?
読み終えた後に残らないんですよね。もったいないくらい。
もっとね。この世界はディープなんですよ。覚醒剤みたいな足抜け出来ない世界なんですよ。ここらへんって。

シャングリ・ラ

2006年9月10日 読書
ISBN:404873640X 単行本 池上 永一 角川書店 2005/09/23 ¥1,995
地球温暖化の影響で東京は熱帯の都市へと変貌した。都心の気温を5℃下げるために東京は世界最大の森林都市へと生まれ変わる。しかし地上は難民で溢れ、積層都市アトラスへと居住できる者はごく僅かだった。地上の反政府ゲリラは森林化を阻止するために立ち上がった。

先月末から今月頭まであまり本を読めていないのは、これのせいでした。

先月読んだアクアポリスで「こんな薄いんじゃ世界に入り込めない!SF
作品ならば2段組で500Pくらい書いてほしい」なんて書いてしまったので、実際SFもので2段600Pあまりの今作取り組んだらつらかった・・・(涙)

 遠くない未来では世界は温暖化に悩み、日本では冬でも20度を下る日はなくなってしまった。
世界でもどんどん温暖化が進み、とうとう世界では炭素税というものを導入される。Co2を多く排出する国は多くのお金を払わなければならない。
たびたびのスコールで東京の排水機能が限界を極め、地上にはもはや通常通り住むことは出来ない。そして日本がとった政策は今ある都市をすて、そちらを酸素を多く排出するジャングルにし、空中に都市を作りそちらに人は移り住む。しかし二極化した近未来の日本は一握りの金持ちしか空中都市(アトラス)に住めず、その他は難民としてゲリラになるか不衛生で生物のバランスの崩れてしまった亜熱帯のジャングルで暮らすしかなくなるのだ。

すごくびっちり詳細に渡って世界観を書かれていて世界温暖化、そいて炭素税を導入という意味では将来的にありえる未来なのだ。(とても頭のよい人が読むと、この世界観や設定の穴が見え隠れしてしまいますが、私ごときの脳みそにはわかりゃしませんでした)しかし世界観をびっちり書くあまりに物語の展開やスピード感にかけて、少し読んでは溜息をついて休んで、また読み始めて休んでの繰り返しでページが進まない!!難しい文章ではないのですが頭の処理能力の遅さといいますか、なんというか・・・。

マルドゥックなどに比べて現在の世界の延長線上に書かれてる割に登場人物がリアリティのない、セーラー服で戦うゲリラ隊長だとか真っ赤なレザースーツで戦うニューハーフとか、十二単を着ている牛車に乗る超能力を持つ謎の少女とか、アニメちっくなのが最初違和感を感じましたが、これだけ盛大に物語を書かれてしまったら楽しまずにはいられなかった。

さくら

2006年9月8日 読書
ISBN:4093861471 単行本 西 加奈子 小学館 2005/02 ¥1,470
スーパースターのような存在だった兄は、ある事故に巻き込まれ、自殺した。誰もが振り向く超美形の妹は、兄の死後、内に籠もった。母も過食と飲酒に溺れた。僕も実家を離れ東京の大学に入った。あとは、見つけてきたときに尻尾に桜の花びらをつけていたことから「サクラ」となづけられた年老いた犬が一匹だけ――。そんな一家の灯火が消えてしまいそうな、ある年の暮れのこと。僕は、何かに衝き動かされるように、年末年始を一緒に過ごしたいとせがむ恋人を置き去りにして、実家に帰った。「年末、家に帰ります。おとうさん」。僕の手には、スーパーのチラシの裏の余白に微弱な筆圧で書かれた家出した父からの手紙が握られていた――。

作者の西加奈子さんをテレビでみたけれど、とても素敵な人だった。
吉田美和みたいなお洒落なんだけど、着飾ってなくてケラケラ笑うナチュラルでかっこいい人でした。

そんな彼女の作品をやっとやっと読めました。
とにかくこの作品とっても人気で手元に全然来なかったのです。ま、その間にたくさん面白い本を読んだのでそれでよしとしますが、とにかくもう半分読む気持ちがへたれていて、やっと届いたけれど他の面白い本たくさん抱えちゃったから読まなくてもいいかなぁなんて思ってました。
でもやっぱり半年も待ったんだし、最初だけちょこっとページめくってみようかなぁとか思ったら最後まで一気読み。結構な厚さなのに一日で読めてしまった。

季節や毎日の日常の情景描写がとても美しくて残酷な現実が待っているというのに美しい風景は続いている。
誰でも実感したことがあると思うけれど、辛いことや悲しいことに直面したとき、もう自分はおしまいだなと感じたとき世界も終わる気がする。だけどそんなこととは関係なく空は青くて、木は緑でみずみずしく花も美しく咲いて、太陽はさんさんと照りつける。
昨日と何も変わらず、明日も多分かわらない毎日が自分以外のところで流れていくのだ。
それが憎憎しく思えたり、森羅万象の全てが自分の現実と懐に抱きかかえるような気持ちになる。

この家族の直面した現実はたやすくない。
だけど、可愛くない犬の「さくら」を中心に誰の上にも同じスピードで過ぎていく時の流れを受け止めていかなければならない。
後半まとまりきれてない印象ありましたが、文体がとても綺麗で西さん同様さらさらしていてとても楽しかった。いい本でした。
ISBN:4150307210 文庫 冲方 丁 早川書房 2003/05 ¥693
なぜ、私なの?―賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった…弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動。

最近読書に行き詰まり感があります。
というのも好きな作家、好きな文体というものが大体固定してしまって彼らの新作を追う以外に他に中々本を手にとろうとしなくなってしまったのです。まだあまり作家を知らなかった頃というのは、装丁に惚れたり、あらすじに惚れたり色々な角度からアプローチしたんだけど最近めっきり守りに入ってきちゃったんですよ。
こんなことじゃいかんと色々探索してみましたが、私の大好きな書評サイトで何度か紹介させていただいてる ざれこさんの「本を読む女 改訂版」というサイトがあります。ざれこさんの意見にはいつも賛成でそそうそう思ったのよ!と背中の痒いところに手が届いてる書評なのです。そのざれこさんが絶賛していた小説がこれ。私は普段あまりSFを手に取らないのですが、これ読み始めました。
まだ1巻だけなので彼らがこれからどうなっていくのか楽しみで仕方ないです。とにかく世界観が恰好よくて、登場人物たちが魅力的だ。
これはアニメになるなと思っていたところ、既にGONZOによってアニメ化が決定しているらしく作画も好み!
トレイラーをみただけで胸が躍ります。
先日やっと発表された声優人、少女娼婦のルーンに林原めぐみ・・・
あぁ・・・綾波レイそのままのキャラになりそうじゃないですか・・・?

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ISBN:4163249001 単行本 瀬尾 まいこ 文芸春秋 2006/05 ¥1,300
元OLの売れっ子占い師、ルイーズ吉田は大忙し! ある日、物事の終末が見えるという大学生の武田君が現れる。ルイーズにもおわりの兆候が見えると言い出して…。表題作ほか3編を収録した連作短編集。


こちら5月に出た連作短編集ですが、既に新しい本も出てるので読まねばならんと思ってます。
私が最初に瀬尾さんを知ったのはテレビでの作家紹介だったのですが、ある地方の中学の国語教師で、すごく優しそうな顔をしていて、明るい生徒に囲まれて愛されている方という感じでした。
その映像をみて瀬尾さんの本はその作家同様、毒がなさすぎて私には物足りないかもしれない。と手に取らなかったのです。
クラスに一人いませんでしたか?いい人すぎてつまらない・・・
もしくは自分のコンプレックスが優等生に刺激されたような感じ。
そんなイメージだったんですよ。
実際読んでみると毒はないですが、人気があるのがうなづけるとても面白い本です。なんていうんでしょうね。前にも一度書きましたが、この御時世にとても人間を好きになれる本なのです。
今回は元OLの職業占い師。といっても超適当にあてずっぽうで商売をしているルイーズが色々風変わりなお客にあって互いに化学反応を起こしたかのように素敵に変わっていくんです。
少々最近疲れてた私の脳に染み渡るように広がって一気にページをめくるほどでした。
ISBN:4086176106 文庫 一条 ゆかり 集英社 2002/04 ¥620

ある時、ふと会話に出てたら同僚が全巻もってくるというので数日かけて何十年分の有閑倶楽部を読んだ。その間、面白い本をたくさん持っていたのに全部そっちのけで電車でも家でもこれにハマリっぱなし。
男子には「少女漫画なんだろう?これ」といわれましたが、女性なら誰でもご存知のこの漫画はアクション&オカルトドラマ。
超金持ちの坊ちゃん嬢ちゃんが、退屈しのぎに大金を動かして世界をまたにかけて、スケールのでかい事件をばんばん解決していくのです。ちまちました仲間内の恋愛ストーリーではないので、もし興味のある男性は少々少女漫画の絵に我慢して読んでいただきたいものです。
いやぁ、最初に読んだのは確か小学生。
あの頃は高校生がすごく遠くて、自分も高校生くらいになれば可憐のようなナイスバディになれるものだと思ってました。おおきな間違いでしたよ。本当。
そして当時眠れないほどびびった蛇の話や市松人形を愛するお婆さんの話なんか今みてもおっかないですね。今だ連載中で、私はとっくの昔に高校卒業してしまいましたがまだ彼らは高校生のまま退屈まじりに事件を解決しています。
少々wikiで覗いてみたら実はこれ20年ほど前に実写ドラマ化されていたようです。今のイメージではほど遠くなってしまった国生さゆりの悠里は当時似合ったのでしょうか?荒井注の悠里の父、万作は非常に見たかったですね・・・

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