NHKにようこそ!

2004年12月22日 読書
自分のひきこもりの原因にはある陰謀が絡んでいると信じ込んだ佐藤達広。彼はその陰謀に対峙することを決意する。そんな達広の前に現れたのは、日傘を差した清楚な美少女だった。彼女はなぜが、達広につきまとい始めて…。



『引きこもり』による『引きこもり』の小説。このことがいいんだか、悪いんだか悩むな。
だってこの作者は引きこもり続けられる理由と経済力をつけちゃったわけだし。
あ、でもメディアにゾクゾクと顔出してる時点でもう違うか・・・

ボイルドエッグラインは非常に面白い作家を見つけてくるものだ。
三浦しをんといいこの人といいね。
http://www.boiledeggs.com

このストーリーをみたとき一時期ネットで流行した「絶望の世界」という小説を思い出した。
絶望の世界は本当もう名の通り絶望で気持ち悪くて反吐が出るようなグロい小説なのに読むのを辞めることができない。
気がついたら全部読破していたんだった。
「NHKへようこそ」はその「絶望の世界」を少しライトにした感じだろうか。

昔、私も半ひきこもってた時期があった。
必要最低限以外は何を見るのも聞くのも辛かったので、ひたすらひたすら眠り続けていた。
そんなとき勿論自分が原因なのはわかっているけれど何かの理由が欲しい。
誰かのせいに出来たならば、ものすごく体が軽くなる。
だって自分の鬱々をした気分は「何か」のせいなんだものね。
主人公の彼はその何かを「NHK」という組織のせいにした。
しかし、中盤その設定をほったらかしすぎだと思う・・・

物語としてはグイグイ引きこまれるのは前者(絶望)だが、こちらのほうが私は好きかもしれない。
引きこもりの現実は辛いものだけれど、物語くらい救いがあって欲しいもの。
えーとね、だからなんといおうとクラブでなく、家で優雅に趣味で廻す「御宅DJ」になりたいんですってば。
今でさえ、我が家は個室バーのようなつくりなのに、ターンテーブルで更に怪しい空間に!

友達の目は大概冷ややかで「まだ婚期遅らすきなのぉー?」だとか「どうせ飽きんだから辞めなよ・・・」と非難ごうごう。ほっとけっ。

 ツレにも「えぇええ?高いじゃん・・・趣味にそんな投資すんの・・・?」と言われましたが胸グラ掴んでちょっと来いと。
「君を始め、多くの人がつっこむスノボっていうのは幾ら投資してるんだと!ボードにウェアに旅費を出したら、一冬分でこの額は軽く超えるのだよ?しかもねぇ。私は普通の女子がつっこむ高級ブランドゾーンには足を突っ込んでないのだよ?」と得々と説教しましたら「あぁ・・・そうだよねぇ。本当そのとおりだ」と答えてくれました。(ツレの洗脳が得意中の得意の私)

何から手を出していいのやら 全くよくわからず、とりあえず電機屋にいったのですが、女子で興味を持つものが少ないのかアキバ系オタク店員にびっちり説明を聞かされたあげく、下手なプレイを得意げに見せられたよ・・・
ふと思い出すと友人に確か御宅DJがいたではないか!?

その彼にお勧めされたこの本・・・
よくよく考えてみれば私はアナログじゃなくCDJが欲しいんだった・・・コンセプトとか用語とかそこらへんはよくわかったけど、こんなに一度に色んなこと私に出来るのか!?
設計も基礎も大工仕事も配管も、ぜんぶ独学、自分たちの手で。聞いたこともない方法、見たこともないつくりの「愉快なマンション」を実現した夫婦の痛快ドキュメント。



沢田マンションというのをご存知だろうか?
ある一人のおっさんが30年くらいかけて建てたマンションである。
そのおっさんは大して建築に関する知識もあるわけではなく、図面も引かない。
適当に部屋を作って作り足していって全何百戸のマンションしていった。
部屋はどれも間取りが違い、4階まで車でいけたり、5階に池が出現したり。
まったくもって奇抜でユニークな建物だ。

このマンションが昔テレビ番組で紹介されていたのを見た。
本当に奇抜で作りたいところに作りたいものを作ったマンションなのでしっちゃかめっちゃかな作りであるのに、白い南欧風の外観に緑も多いマンションなのだ。
沢田マンションは敷金礼金なし。家賃激安も激安。滞納も認めてくれる何とまぁ人情味溢れたマンションで何もかも捨ててここに住んでみたいなぁ。

下町の長屋が生きているこのマンションについての本が出たと聞いて早速読んでみた。
これを作った夫婦は本当貧乏のどん底からコツコツ二人だけで這い上がっていまの位置にきたのだ。
もう日本ではなくアジアのアバウトさとパワーを感じるんだよねぇ。ここからは。

こういう小説よりも素敵な実話をせっかくこの本に仕上げたというのに、この本が出てまもなくおっさんは天国にいってしまった・・・おっさんは多分天国でもマンションを作り続けると思う。

*現在このマンションはWEBカメラがたくさん取り付けられていてネットでその生活の一部をかいま見ることが出来ます。
 興味がある方はどうぞ。
http://www.sawaman.com/

東京困惑日記

2004年12月14日 読書
“困惑の帝国”こと原田宗典が、日本全国津々浦々、過去から現在に至るまで、耳の中まで真っ赤にして困りはてたとほほ的状況を全て公開。大爆笑まちがいナシ!! 読んでいるうちに人生楽しくなっちゃうエッセイ集。


ぎゃーっはっはっは。
あー駄目駄目。私は通勤読書派なんだから こんな面白いもの渡さないで〜!!
最初の一篇で咳をするフリをして本で顔を隠し、肩を震わせて笑う。
おかしい〜面白すぎ。腹痛い〜。

彼のファンサイトを見てみたら、このエッセイの出来はもうひとつで、この作品は割りと出来が悪いほうで、
これよりも面白いエッセイがあるらしい。
絶対に電車で読めないね!!
顔が波平で体がマッチョな歯医者。「アーノルド波平」
この話だけでもう私は急病人にように電車で前のめりになって肩を震わしちゃったよ〜。

クスッと笑える本はいくらでも知ってるけれど ここまでゲラゲラ笑える本も珍しい。
作者は小説よりエッセイの評価が高いのが納得いかないらしいが、面白いものは仕方ないじゃないか!
楽しく値切ろう、ベンタイン市場、魅惑のアオザイ、ニャチャンビーチ、おやつ天国…人気イラストレーターが「散歩とお買い物」を満喫したベトナムの休日。


この間バッチャン焼きを買ってからというもの、気持ちはベトナムへまっしぐら。
パクチーは苦手だし、特に建造物に興味があるわけでもないんだけれど、もう、目的はひとつ「買い物!!」
アジア雑貨好きだし、ベトナムは素敵な服をオーダーメイドで作れるし、かわいい焼き物もたくさんあるし。
フォー大好きだし!生春巻きはもっと好きだし!
というかなり不純な動機です。ハイ。

余談ですがライターの大塚幸代さんはとても趣向が似ていて彼女のベトナムレポはすごく面白かった。
なんだかどこかで知り合ったらいい友達になれそうなんだけれど・・・(片思い)
http://portal.nifty.com/special04/10/20/

昔ヨーロッパを旅行した時、目的は美術品オンリーだった。
教科書や画集でしか見たことない有名な美術品を是非ひとつでも多くみようとしていました。
友人と手を取り合いプラダでブランドを取りあう日本人だけにはなるまい!と固く誓ったのに・・・
だのに数年後今の私は買い物の亡者。
(安価で)欲しい欲しい欲しい。バッチャン焼きにベトナムガラスに刺繍ものやらライスペーパーだとか。

この方のエッセイを見るのは初めてなんだけれど、私と近かったのかすごく読みやすく参考になったのです。
このエッセイを書いたのは6,7年前なので相場も変わっているだろうが、彼女が買ったバッチャン焼きのティーセット。
日本でならば5,6千円のものもあるというのに150円程度。
食事は高級な店でも1000円を超えるということは滅多になく、普通の店ならば2〜300円で十分食べられる。
ベトナムのカワイイ籠バックも100円。ベトナム刺繍の入ったカワイイサンダルやスリッパも数百円。
アオザイやチュニックも1000円しないものもある。バッチャン焼きなんて日本にない可愛らしいものが何十円で投売り。
うぅ・・・大の字にひっくりかえって大暴れするくらい欲しい。
なんなら買占めて来てこっちで商売始めたいくらいの価格差。

彼女のイラストはすごくほんわかしていて読みやすく、興味をそそる。
また一人追っかける作家が増えた増えた。嬉しい嬉しい。
待ってろよぅーベトナム!

アッシュベイビー

2004年12月10日 読書
私に最高の死をください。彼の手から与えられる唯一の幸せを私にください。芥川賞受賞第一作。


 なぁんか若者独特の悶々とした憂鬱感みたいなものが多くて、初盤「あぁ、わけーなー。若さゆえ苦しそうだなぁ」と感じていたのですが、だんだんとその世界にのめり込む。

読んでいたとき 私は非常にちっぽけな脳味噌で久々に堂々巡りをしており、悶々欝欝とした感情だったため見事にシンクロしてしまった。この悶々とした感じは若い頃一度は味わう焦燥感なのだろうけどね、こうやって活字にされてしまうとその辛さを思い出してしまう。喉元が詰まってうまく息が出来ない感じ。

大好きな相手に

『もっと私をみて!もっともっと私に興味をもって!あぁ。できるならいっそ殺して!』

そう願望する気持ちはわからなくもない。
やはり人は全部を独占できないから、誰かのモノになったりなりたければ殺しあうしかない。
物騒なんだけど酷く納得しちゃったのです。きっとこれを読んでる頃の私はすごく精神的にやばかったんだろうと思う。

でもさ。やっぱりペドフェリアや獣姦などに嫌悪感を持つくらいに、まだ私が残っていたよ。
大人になったね。私もさ。

きもの365日

2004年12月9日 読書
きものは大好きだけど、あくまでも「非日常着」だった著者が、1年365日きもので過ごすという試みに挑戦。ところが、思わぬ所から冷えて風邪をひいたり、針仕事の大変さに目を回したり、失敗と試行錯誤と発見の繰り返し。生活形態も変わり、愛猫も目をパチクリ。働き者の「昭和のおかあさん」をめざして奮闘した1年間。写真やイラストも充実、きもの生活のガイドとしても役立つ、傑作日記エッセイ。


前回群ようこの着物エッセイであれだけ憤慨したというのに、凝りもせず読む。
私はマゾかっ!?
(前回激怒した着物エッセイレビュー:http://diarynote.jp/d/43633/20040910.html

やはりこの本を手にとったのは「着物で現代生活をする」というところが気になったのである。
昔の様式とは様変わりしてしまった現代の日本生活でどんだけ着物文化を維持できるのか、着物好きとしては気になるところなのだ。
それにしてもやはり彼女は物書きな為、毎日通勤ラッシュに乗る私たちとは違う。
だから参考にも何もならないんだけどねぇ・・・

OLよりはるかに恵まれている環境でなお、やはり着物を毎日着るのは苦行のようだ。
365日着ると決めた相当な着物好きな群さんでも後半ゲンナリしてほとんど着物を着ていなかった。
やはり前回と同じく、若者が今着物を着ることをチクチク書いている。
「安いアンティーク着物を買う若者はどうせ着捨てるのだから許せない。」
「やはり着物は縫えるほどの和裁の腕で高い着物をリメイクしながら大切に着るものだ。」
彼女の貫き通す意見はこれなんだよなぁ・・・(溜息

確かに高級な着物を長く大切に着ることは大切だけれど、誰しもが何百万円の着物を購入する資金を持っているわけではない。
そして家庭科でも習わない和裁などは、よほど好きで独学で学ぶか習いにいかない限り身についてる人なんていやしないのだ。
だからこそ今まで着物文化が廃れてきたというのにねぇ・・・

もっともっと普段に着物を着る機会があればいいのになぁ。と一般人の私はそう思う。
まだ読み終わっていないので、いずれきちんと本としての感想かきますが。

この本は「誘拐」の話ですが、その手段に関しては、それほどテーマではない。
しかし特筆すべき点は作中での誘拐の手法が

「携帯をもってる子供」を狙い、「子供を殺害」し、「子供の携帯から被害者の両親に連絡」をする。

携帯の微弱電波は居場所をある程度特定できる。(ピッチならピンポイントで)
だから犯人は自分の居場所を知られない為に連絡を取ったら急いで電源を落とさねば足取りがばれてしまう。
これは普通みんな知っていることなの?(私は仕事柄知っているのだけれど)
そんなことも説明されている。

拭い去っても拭い去っても合致点が多く、奈良の女児児童の事件しか浮かばない。
遺体の発見場所は リンクのまぐれさんによれば映画のワンシーンに似ているという。
映画や本が好きだった人なのだろうか・・・?

早期の事件解決と被害者のご冥福をお祈りします。
累計なんと3億アクセス! 世のあらゆるネタを本物の探偵がプロの技術で徹底調査し報告する超人気サイト「探偵ファイル」が単行本に! エロ・お笑い・芸能からシリアスまで、読者からのトンデモ依頼も本気で調査!
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書籍オリジナルコンテンツを満載し、あぶない動画もCDに収録!「探偵ファイル」ベストリミックスがここに!


超人気サイト「探偵ファイル」の書籍化。
http://www.tanteifile.com

探偵ファイルは大手探偵会社ガルエージェンシーのサイトで、独自の捜査からテレビより早く情報を得て、
マスコミではいわない真実を語るサイト。
で、あると同時に探偵たちが無駄なことに命をかけ車燃やしーの、ミミズバーガー作ってみたりと色々な意味で目が離せないサイトなのだ。

本やテレビで得られない知識をネットで得ようとすると、やはりどんどんアングラサイトやら、マニアックになってしまう。
だって私は自分が知らないことをもっと知りたいもの。

私が最初このサイトをみて大笑いしたのは「オタクファッションを流行させる」という企画だった。
意外といい男にオタクファッションをさせてアキバを歩かせる。
それだけだったのだが人は外見だけでこうもかわるものかと腹を抱えた。
http://www.tanteifile.com/baka/akiba/01.html(←こちらがその企画)

本の感想としては、サイトの勢いからするといまひとっつ。
書籍にするにあたってサイトから厳選されたものだと思うけれど、多分これに載せられなかった色々な危ういネタのほうが面白い。
やはりWEBが本になると色々な規制でこうなってしまうのかなぁ。・・(寂

しかし!!(続きはヒミツ日記で)

B型陳情団

2004年12月3日 読書
いまどきの世の中のカンチガイをB型人間のオクちゃんが徹底的にチクリチクリする大爆笑エッセイ。青年の主張!A、O、AB型の方にもよく効きます。


奥田の本が借りられない・・・orz
すごい予約数で足がすくみ、予約をするのも嫌だ。
全部で5件しか予約できないのに、何ヶ月も一枠取られちゃうし。

本当なら「空中ブランコ」「イン・ザ・プール」が読みたいけれど、もう奥田ならなんでも構わない。
で、わけもわからず借りてきたら随分前に書かれたエッセイでした・・・うぅ。小説が読みたかった。

面白いなぁ。
あぁ、いるよね。重箱の隅をつつき、それでなおかつ自分で独自の(一見正当な)理論をぶちたてて絡んでくる人。
作者自身も言っているが、連載でチマチマ読むと あはは、こんなことに怒ってるよ!と思うけれど
全部まとめて読むと癇癪持ちでいつも地団太踏んでキィキィいってる人みたいだ(笑

嫌だから嫌!そういえばいいのに周り口説く自分を納得させるために一生懸命ブロックを組み立ててる。
なんてかわいい人なんだ!(←ダメンズ)

あぁああ・・・・でも空中ブランコ読みたいんだってば。
人気ある作品はチャッチャッと読んで次まわしてくださーい♪
平松洋子の食卓には、日がなくつろぎを求めて家族や友人が集まってくる。サクラの花でお茶を一服、落ち葉を使ったおもてなし、うつわ好きのひらめき…。毎日が少しずつうるおい、ちょっとずつハッピーになる秘訣を紹介する。


テーブルコーディネートのあまり上手じゃない私にとっちゃ、この本は目からウロコ。
例えばお茶碗のかけらを磨いて箸置きにしたり。
和菓子を食べる竹のフォークみたいなもので果物を食べたり。

ちょっとした工夫でおいしい時間が過ごせるんだなぁ・・・
自分がもっぱら視覚で食事をするというのに、今まで何も拘ってこなかった。
ちょっとづつちょっとづつおいしい料理を作れるようにセンスを磨こうっと。

忘れた頃またこういう本を眺めて自分を刺激せねば。
渋谷を根城にファイトパーティーを主宰し、トップにのし上がったストリートギャング雅。頭のアキとカオルは、ある日仲間が持ち帰った大金を見て驚愕する。その金は、ヤクザが経営する非合法カジノから、三人組の男たちが強奪したものだった。金の行方を追う強奪犯とヤクザ。絶体絶命の状況を脱するためにアキとカオルが立てた作戦とは。



くぅ・・・・(嗚咽)
これほどの本に久々に出会えるとは思ってなかった!

嬉しい嬉しい!
なんて面白い本なんだ。
この本はページの隅から隅までびっしりと書き込まれている。(あ、いや実際にではなくイメージでね)
同じページ数の作品でもどこかスカスカして風が吹いているような本はいくらでもあり、それがまた魅力な作品もある。
だけど、この本は本当隙がない。
一人のキャラクター、一つのエピソードが中世の具象画みたいに緻密に描かれているので、どのシーンにものめりこめて、どのキャラクターも情が移る。

普通主人公と敵対する相手は描かない。
悪役なら悪役のミステリーな部分を読者に想像させるためなのか、未知なる脅威に描くのに、
ヒートアイランドはびっしりだ。生まれてからどういう感情で育ったか。どうしてその感情を抱くようになったのか。
一人の人生を見つめ続けたと錯覚するほどに細かく設定をしている。

今年読んだ中で間違いなく一番。
恋愛やエッセイばかり最近読んでいて事件やサスペンス、そういうものはおなか一杯だなぁと思っていたけれど、この人の作品ならば別だ!!
垣根の他の作品も全部読むことに決めた。

*たぬさま
リンクさせていただきました。 
本のセレクトがものすごく私も好きなものばかり!!
未読のものは追いかけて読みたい気持ちでいっぱいです。

青空感傷ツアー

2004年11月30日 読書
音生が、わたしの腰を持った右手に少し力を入れて、叫んだ。「なあっ、芽衣ちゃん、わたしとどっか行こうや!」 美人で高慢で愛すべき女友だち音生と、彼女に言いなりな私。女二人の感傷旅行の行方は?



 読みたい本を片っ端から読んできてだんだん余裕が出てきたのでジャケ読みをしてみる。
綺麗な表紙の本を2冊選んで悩んだあげく(既にもう5冊以上の本を手にもっていたので)一冊に決めてこれにした。
画像出てよかったなぁ・・・

しかし諦めた一冊のほうは ここで相互リンクさせていただいてるふかみんさんに絶賛されていた「パイロットフィッシュ」だった・・・ううぅ(涙)あれから、その本には出合えておらず・・・ 運命ならばまた会えるやね。綺麗な金魚ちゃんの表紙ね・・・

この本のゆったりした流れと登場人物がすごく好きになった。
音生(ねお)という美少女。
どこからどうみても美しさであふれてる彼女。その美しさゆえか歪み、腹黒く、傍若無人。
だけど美しいから皆に許され、主人公も同姓ながら見とれて振り回されてしまう。

きっと近くにいたら一番愛してしまい憎んでしまうだろうタイプ。
物事を包み隠さずに発言する彼女は本を読んでても「顔出せ顔!」とムカムカしてしまうけれど
やはり同じ女性としてその誰をも魅了する外見には憧れてしまうんだよなぁ・・・

主人公と身勝手な美少女の大した目的も終わりもない旅がゆったりと柔らかに描かれている。
作者の柴崎友香は少女漫画の原作やこういう柔らかな作品を得意としてるらしい。
「彼女の部屋」という短編集がとても作者らしくてよいとファンの方のブログで書かれていた。
公開中の「今会いにいきます」のような短編を紹介してある文で涙が止まらなくなってしまった。
悲しくてせつない話をなんてさらりと書くんだろう。
今はまだ無理だけれど、いつか自分の心が整理できたならば、その本を読んでみようと思う。

なかよし小鳩組

2004年11月26日 読書
倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に大仕事が舞いこんだ。ところが、その中身はヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略、というとんでもない代物。担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとには、さらに別居中の娘まで転がりこんでくる。社の未来と父親としての意地を賭けて、杉山は走りだすが―。気持ちよく笑えて泣ける、痛快ユーモア小説。


 昨日、仕事が早く終わったので何となく六本木ヒルズを歩いていますと前から女子と手を繋いで歩いてくるスタジオアパートメントの森田さん発見!!イヒヒ。
こないだイベントで見たばかりなので背格好も顔もすぐわかりますわよ??

**********

この作品はどこかでお勧めされていて手に取ったものだけれど実は「オロロ畑で捕まえて」という作品の続編らしいです。
これから読んでも勿論わからないことはなかったけれど、続編から見たり読んだりするのが大嫌いなので欝だよっ!!

プリズンホテルのようになんだか愛嬌があって可愛らしいヤクザと弱小広告代理店の話。
泣けて笑えるけれど、もーうちょっといまいちかなぁと。
作中に出てきた頭脳派ヤクザにちょっとばかり萌えてしまい、ダメンズ発揮。

ふーん、こんなものなのかぁと思ったけれど電車で読んでいたら、滅多にないのに乗り過ごしてしまった。
きっとのめりこんでいたんだろうなぁ・・・

*夜霧のネオンサインさま
 実は以前から他の方のリンクから読ませていただいてたのですが、やはりいつ読んでも面白いのでリンクさせていただきました。(照

うまうまノート

2004年11月22日 読書
「食べ物に対して霊感が働く」と嘯(うそぶ)く、芸能界きっての“食いしん坊女優”ムロイが出会うべくして出会った「うまうま」なモノたちをあなたのココロとオナカにデリバリー。


渡辺満里奈の「甘露なごほうび」を読んでから食エッセイに興味が沸いてきた。前にも書いたように食べ物を表現する言葉って難しいのよー。

就職して何年もたってくると大概みんな口が肥えてくる。
自分のお金で食べるものだから「よりおいしいもの。おいしいもの」に流れていく。
あぁー、もう私も子供の頃いったつ○八なんかではもう飲めないかもしれない・・・

室井滋のエッセイは芸能界でも群を抜いて面白い。
すっぴん魂はどれもびっくりするようなおかしい話ばかりで、肩の力を入れずに読めるので大好きなのだ。
彼女の食エッセイならば、愛しき「安くておいしい隠れ家」を紹介してると思い喜んで手に取った。

自身のかわいいイラストと写真と文章で埋め尽くされた本はとてもカワイイ。
安くておいしい店もたくさん紹介してある。
紹介してあるお店は昭和の古きよき店といった感じの店が多い。
この本で室井滋は食べ物と一緒に思い出を咀嚼している。
おいしいものと一緒に必ず昔の素敵な思い出を書いているのだ。
きっとその食べ物には「思い出」っていうスパイスがたくさん振りかけられてるのでおいしく感じるのだろうなぁ・・・

同じ店の食べ物は共有できても、思い出は共有できないので彼女の紹介する店には行かないと悲しいけれどそう思ってしまったよ・・・

お先真っ白!

2004年11月19日 読書
ジャッキー・チェンに憧れて20m下の淀川へ決死のダイビング、母は50歳で「腹話術師」デビュー、父は70歳でヒマラヤへ。30ケ国を駆ける「旅人OL」てるこのアホな日常と、それを彩るトホホな人たちを描くエッセイ。



ある日ふと本屋でどうしても気になって彼女のことを知りもしないのに買った本。それが「ガンジス河でバタフライ」だった。

私は人に紹介されたり、どこかで作家やその本の情報を見聞きしないと本を買わない。そこら辺はなんだかガードが無駄に固い。(笑

この本は島田紳助に見出された たかのてるこというOLのインド旅行記で今でも私の読んだ旅行記の中で間違いなくベスト1だ。

二作目。三作目。と続くうちに彼女は旅先で恋をした。
うーむ・・・・自分がそうだからとは認めたくないが「枯れた女作家」好きとしては今まで女だというのにアグレッシブに向こう見ずな旅をして人をガハハと笑わせてた人に目からハートを飛ばされてもなぁ・・と苦虫噛む思いだったのだ。

恋をするようになって以来、確実に彼女の本はつまらなくなってきているし、「ガンジス河〜」をもう超えられないのかもなぁと彼女の本を手に取らなくなってしまった。

しばらくぶりに彼女の本を見かけた。
それがこの本なわけだが、今回は旅行記ではなくて自伝のエッセイ。
あまり期待はしていなかったけれど、ページをめくってみるとこれがなんとも面白い!ガンジス河以来の面白さ!
おおう。たかのてるこ復活か!

読み進めていくうちに彼女は旅先で出来た恋人と別れたらしいことを告白していた。(しかも新しい彼女からの代理での別れの手紙ってどうなのよっ!?)
いやはやわかりやすい人だ。
彼氏が出来ると途端につまんなくなる女子っているんだよなぁ・・・としみじみ。

また彼女の本を欠かさず買おう。
彼女の旅行記は番組にもなっているのだが、いつもゲリラ的に深夜放映するので見れた試しがない。DVDになってくれないかなぁ・・・・
B・ホリディなんかブッ飛ばせ!19歳の美貌を含羞でくるんだ朝子のボーカルが古都の夜空を駆け抜ける―。大型新人の魅力満点ハード・ブギ作品。小説すばる新人賞受賞作。



音楽ものが読みたくなった。
読んで血沸き肉踊るような、成り上がりモノが読みたい。
で、有名なこの本を読んだわけです。

しかし、この物語は音楽のサクセスストーリーでなく、バンドがバンドとしてしっくり収まった話なので、彼女らが演奏するシーンもほとんどないし、人間関係にその9割以上を裂いているのよ・・・・

出版してからしばらく時間がたっているので音楽描写も正直古いし、臭いなぁと思ってしまった。

 泣かせる声、そして色香の持ち主 朝子には勝手にエゴのナカノヨシエを想像し読書。
すごくはまるよっ!!

魅力的な女性というのはわかるし、気風もよく母性もある朝子は素敵なんだろうけれど、バンドメンバーと寝てしまう奴は嫌いだ!
実際にそういう揉め事に音楽やってたときも芝居やってたときも散々嫌な思いをしたことがあるので。憧れもしないし、むしろ蔑むよ。
ギターの線が細くて、繊細で美形で素敵なギタリスト。あぁ。こっちのほうが萌え。勝手に色々な人あてはめたりして涎。

これを読んで思いだしたのはアダルトビデオ。
AVってさ、綺麗な女子と汚いおっさんの構図が萌えるらしいね。
こんなオンナノコがこんなオッサンにうおおおおお!って?
まだ私はその域に達してなくて、朝子と汚らしいヤクザのセックスシーンに寒気だよ。詰めそこなった骨の飛び出た小指を愛撫するなんて、うわぁ・・・キモイ。
その二人に愛を超えた愛があった、重要なシーンなんだけどね。
生理的に駄目。ウディのキスシーンがきもいなんて言えないくらい駄目。うぅ。

まだまだ年食ってても日々精進だね。うむ。

PLUTO (1)

2004年11月10日 読書
漫画は基本的に完結してから読むようにしている。
次が出るまでイライラするし、待っている間にテンションが下がりきってしまうのも嫌だ。

浦沢はどこの世界の映画にさえ引けをとらない漫画を描く人だと私は思っている。
その浦沢が手塚をリメイク。
ムズムズムズ。気になる・・・
発売されても我慢我慢。
今回何故か王様のブランチなどでもこの漫画の特集をされてた。
き、キタネー。
なんつうか「浦沢知らず」に先を越されるのは待つよりもっと嫌だ!(本屋へダッシュ)
あぁ・・・豪華版には手塚版が収録されていたんですね・・・見切り発車だった。そっちがよかった・・・orz

この人の漫画はどうしてこんなに深くてドラマちっくなんだろう。
そして読者に先を期待させる力もものすごい。
ノース2号に何度も泣いた。
ロボットを人に近づけることで何かしらの安心感を持つ人間達が逆に人間らしくなく見えるのは私だけだろうか?

最後でやっとアトム登場。
かわいらしい普通の男の子。
私たちはこの子の秘める力を知っている。
くそぅ。これからどうなるんだ!!?
借金女王中村うさぎ。彼女は買い物をやめた。しかし、これまで以上の借金漬けの日々を送る。それはホストクラブに通い詰めるようになったからだった。運命を変えたホストとの出会いから今日までを赤裸々につづる自伝エッセイ。


色々な本でカミングアウトしているが中村うさぎはホストクラブ遊びに熱中して大金をつぎ込んでいる。

いやもう本人自らネタにしているので、アハハと笑っていたが、そのホスト遊びに入れ込む顛末をこの一冊にまとめた。

笑えない・・・
だってさ、きっと彼女は毎年何千万の印税を手にするんだろうけど
その印税がほとんどの出版社、再来年までそのホストのために前借ですよ!!
衝撃のあまり昨夜私も春樹にお金を突っ込んで首が回らなくなった夢をみたぞ。

そこまで彼女を狂わせる男の顔みたい〜!
見たいでしょ?皆様もさ。
で、検索して調べた中村うさぎを狂わす新宿トップダンディ「春樹」
http://www.groupdandy.com/topdandy/staff/haruki/04.jpg
いい男ですねぇ。まじで。これなら金があれば私もつっこ

えーと。
彼女は彼女なりに自分が取りとめもなく彼にお金をつぎ込んでいく様を冷静に分析しようとしている。
見返りのない愛に何故自分はここまで?
最初彼女が彼にかける思いは「自分が店のナンバー1に育て上げる!」という競馬馬にかける思いのようなものだった。
そこからどんどん気持ちはスライドして偏った愛(私にはそう感じた)に変貌する。自分で気持ちを留められず、行くところまで行って結末を見たい。と自ら体をゆだねていく。

今まで笑って読めた中村うさぎの本がこんなせつないなんてさ。
こんな言葉を持っていたなんてさ。
やっぱりすごいよね。この人。
彼女の彼女なりの自分探しと模索の旅なのだ。
お金を払う恋愛関係がすごく汚らしいものに感じていたけれど、
そういう形で求め求められっていうのも理解できるようになる。

あ、だからといって私は「三島由紀夫って誰?タレント?」っていっちゃうような昆虫馬鹿には恋できないけどね・・・
彼氏は太っていても自分のことを好きでいてくれているはずなのに、どうして外に連れ出してくれないのだろう?他に女がいるの?そんな悩みが重なってダイエットをすることになったのだが、なかなかうまくいかない。食べては吐いて食べては吐いて・・・・・。それを繰り返してやっと痩せるができた。やせたことによってシアワセはやってきたのか?何がかわったのか??


たかが面の皮一枚なのにねぇ。
なんで女子はそんなに痩せたくなるのか?
だってさ、世間で売られてる服はモデル体型に似合うように作られているからなのよ。御洒落したけりゃ痩せてないとどんどん間口は狭まる。
だからみんな痩せたくて痩せたくてたまらないの。

この本は、肉の有無で何がかわる?
痩せてても太ってても精神の弱さが問題であって、
どちらに転がるにしろ幸せにはなれないのよ?・・・と示唆してる。
見た目が綺麗なことだけが幸せではないし
痩せていることだけが幸せではない。

だけど当の作者がダイエット本をバンバン出して、無茶なダイエットして
痩せてることが美しいイエイ!みたいな本書いちゃ、説得力がない。
なんだかすごく矛盾してるよなぁと思う。

リセットダイエットの中だったかな?この本の主人公を引用してある。
この本の中では痩せる為に狂気じみる主人公を蔑むように書かれているというのに、リセットダイエットの中ではさぞ醜い主人公が痩せて綺麗になったほうがいいように引用してあるんだよなぁ・・・

うーん・・・
やっぱり何を読んでも私は痩せて綺麗でいたいって思ってしまうなぁ・・・
心にしこりを残すけれど。

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